消防士は新卒と既卒・社会人どっちが受かりやすい?元東京消防庁消防士が解説
「消防士って新卒の方が受かりやすい?」
「一度民間企業へ就職したら不利になる?」
「25歳、30歳から東京消防庁を目指すのは遅い?」
消防士への転職を考えている人なら、かなり気になるところだと思います。
私は大学4年生のときに、
東京消防庁
と
大阪府警
を受験し、両方から合格をいただきました。
その後、東京消防庁へ入庁しました。
消防学校へ入ると、
大学を卒業したばかりの人。
民間企業から転職してきた人。
別の公務員経験者。
既卒で何度か採用試験へ挑戦した人。
など、本当にさまざまな経歴の同期がいました。
そこで今回は、
消防士は「新卒」と「既卒・社会人経験者」のどちらが合格しやすいのか?
について、2026年度の東京消防庁採用制度と私自身の経験から解説します。
結論|新卒だから有利、既卒だから不利とは言えない
先に結論です。
東京消防庁の消防官採用では、新卒だから自動的に有利、既卒だから不利とは言えません。
少なくとも東京消防庁の現在の消防官Ⅰ類では、
「新卒枠」と「既卒枠」に分けて採用する制度にはなっていません。
受験資格を満たしていれば、
新卒。
既卒。
社会人。
いずれも消防官Ⅰ類を受験できます。
そして私自身が入庁したときも、
既卒・社会人経験者は普通にいました。
まず「中途採用」という言葉に注意
旧記事では、
「新卒と中途採用どっちが合格しやすい?」
と書いていました。
ただし2026年版では、ここを正確に整理します。
一般企業なら、
新卒採用。
中途採用。
という枠が明確ですよね。
しかし東京消防庁の消防官の場合、
社会人経験者だから「消防官中途採用」という別枠へ必ず応募するわけではありません。
例えば消防官Ⅰ類では、年齢や学歴等の受験資格を満たせば、既卒者・社会人経験者も受験できます。
一方、東京消防庁には実際に「経験者採用」という名称の制度がありますが、2026年度は、
- 事務
- 土木
- 建築
- 電気
- 機械
などの一般職員向けです。消防官Ⅰ類とは別の採用制度です。
なのでこの記事では、
「中途採用」ではなく「既卒・社会人経験者」
と表現します。
2026年度の東京消防庁Ⅰ類は既卒・社会人も受験できる
2026年度の東京消防庁消防官Ⅰ類(教養試験方式)の受験資格では、
1991年4月2日から2005年4月1日までに生まれた人などが対象となっています。
東京消防庁のFAQでも、消防官Ⅰ類・専門系については、
試験日の翌年度4月1日時点で35歳が年齢上限
と案内されています。
つまり、
22歳の大学新卒。
25歳の会社員。
28歳の公務員。
30歳の民間企業勤務。
などでも、受験資格を満たせば挑戦できます。
消防士になるには?採用試験から消防学校まで元消防士が解説【2026年】
新卒だから採用枠が多いわけではない
これもよく誤解されます。
「公務員って新卒を大量に採るんでしょ?」
と思うかもしれません。
しかし消防官採用では、
「大学新卒100人、既卒50人」
のような募集枠になっているわけではありません。
2026年度の消防官Ⅰ類では、教養試験方式が、
1回目280名
2回目60名
の採用予定。
さらに適性検査方式で、
100名
の採用予定となっています。
この募集人数が、
「新卒用○人・既卒用○人」
と分けられているわけではありません。
実際、私の同期にも既卒・社会人経験者は多かった
ここからは私自身の経験です。
私が東京消防庁に入庁したとき、
新卒だけが集まっているわけではありませんでした。
大学卒業後そのまま入庁した人。
一度民間企業で働いていた人。
別の仕事を辞めて消防士になった人。
何度か消防試験を受けて合格した人。
など、いろいろな経歴の人がいました。
旧記事では、
「新卒と既卒は5:5くらいだった印象」
と書いていました。
ただしこれは、
私が入庁した当時、周囲を見た個人的な感覚
です。
東京消防庁全体の公式統計ではありません。
2026年版では、そこは明確にします。
「既卒だから落とされる」は考えなくていい
これから社会人で東京消防庁を目指す人の中には、
「新卒カードを失ったから無理かな……」
と思っている人もいるでしょう。
私は、そこを必要以上に心配しなくていいと思います。
むしろ考えるべきなのは、
既卒・社会人になってから何を経験してきたのか。
です。
ここが面接ではかなり重要になります。
新卒と既卒で違うのは「面接で説明する内容」
採用試験そのものは同じ区分でも、
面接で話す内容は変わります。
新卒なら「なぜ消防士なのか」が重要
大学生なら、
「なぜ民間企業ではなく消防士なの?」
「なぜ東京消防庁なの?」
「学生時代に何を頑張った?」
「消防士になるためにどんな準備をした?」
などを整理しておく必要があります。
新卒の場合、
社会人としての実績がない分、
学生時代の経験・人柄・志望動機
が重要になります。
既卒・社会人なら「なぜ今、消防士なのか」が重要
一方、社会人経験者の場合、
必ず考えておきたいのが、
「なぜ今の仕事を辞めて消防士になるのか?」
です。
例えば、
「今の会社が嫌だから」
だけでは弱いです。
面接官からすれば、
「消防に入っても嫌になったら辞めるのでは?」
と思う可能性があります。
だから、
前職で何を学んだ。
↓
なぜ消防士を目指すようになった。
↓
その経験を消防でどう活かす。
という流れを作ります。
社会人経験はむしろ武器にできる
私は社会人経験があること自体は、
マイナスではなく、使い方次第で武器になる
と思います。
例えば営業経験なら、
コミュニケーション。
住民対応。
説明力。
チームワーク。
建設業なら、
安全管理。
危険予知。
現場経験。
体力。
医療職なら、
傷病者対応。
医療知識。
対人能力。
など。
消防と接点を作れる経験はたくさんあります。
消防士の体力試験はどれくらい?種目・目安・対策を元東京消防庁消防士が解説
「前職が消防と関係ない」は気にしなくていい
例えば、
IT。
金融。
飲食。
製造業。
建設業。
販売。
営業。
消防と直接関係がなくても問題ありません。
重要なのは、
その仕事で身につけた能力を、消防士としてどう活かせるか。
です。
「消防に関係のある職歴でないとダメ」
ということではありません。
新卒には新卒の強みがある
もちろん、新卒にも強みがあります。
例えば、
① 消防試験対策へ時間を使いやすい
大学生なら、
授業。
アルバイト。
部活動。
との調整は必要ですが、
働きながら勉強する社会人より時間を確保しやすい場合があります。
② 体力を作りやすい
20代前半なら、体力試験対策もしやすいです。
③ 学習習慣が残っている
大学受験や授業など、
机に向かう習慣が残っていることも強みです。
既卒・社会人にも大きな強みがある
逆に既卒・社会人経験者には、
① 社会人としての経験
上司。
部下。
顧客。
チーム。
などと働いた経験があります。
② 仕事での失敗・改善経験
トラブルへどう対応したか。
失敗から何を学んだか。
面接で話せる具体例が増えます。
③ 志望理由に説得力を出せる
「別の仕事を実際に経験したうえで、それでも消防士になりたい」
という志望動機を作れる場合があります。
つまり、
新卒にも社会人にも、それぞれ別の強みがあります。
2026年度はSPI方式という選択肢もある
これは旧記事を書いた2020年にはなかった大きな変化です。
現在の東京消防庁消防官Ⅰ類には、
適性検査方式
があります。
2026年度は第1次試験としてSPI3-Uを利用し、全国から希望日時を選んで受検できます。
採用予定は100名です。
これは特に、
働きながら公務員試験を目指す社会人
にはかなり注目したい制度です。
従来型の公務員教養試験だけでなく、
SPI方式という選択肢があるからです。
社会人なら教養試験方式とSPI方式どっちがいい?
これは得意不得意によります。
教養試験方式が向いている人
公務員試験の勉強をしている。
数的処理・文章理解などに慣れている。
過去問対策をしっかりできる。
適性検査方式が向いている人
民間就活などでSPI経験がある。
公務員専門の勉強時間を確保しづらい。
仕事を続けながら受験したい。
という人です。
東京消防庁自身も適性検査方式について、SPI3-Uを採用しています。
社会人から消防士を目指すなら年齢は必ず確認
これは非常に重要です。
「まだ受けられるだろう」
と思っていたら、年齢制限を超えていた。
では困ります。
東京消防庁では2026年度、消防官Ⅰ類・専門系について、
翌年度4月1日時点で35歳が上限
とされています。
消防本部によって年齢要件は異なるので、
東京消防庁以外を受験する場合は、
必ず各自治体の最新の採用案内
を確認してください。
「30歳から消防士」は遅い?
受験資格を満たしているなら、
受験すること自体は遅くありません。
ただし、
20代前半と30代では、
生活状況。
家庭。
収入。
転職リスク。
体力。
など条件が違います。
30歳前後で受験するなら、
「合格できるか」
だけでなく、
採用後の消防学校・給与・キャリアまで含めて判断する
ことをおすすめします。
一度落ちたら不利になる?
私は、
1回落ちたから諦める必要はない
と思います。
採用試験には、
筆記。
体力。
面接。
論文・作文。
など複数の要素があります。
どこが足りなかったのか分析して改善できます。
実際、
一度で受かった人だけが消防士になっているわけではありません。
既卒者にとっては、
翌年度また挑戦できること自体が大きなチャンス
です。
ただし「何回受けてもいい」だけではダメ
旧記事では、
「何回でも受けるべき」
とかなり精神論で終わっていました。
今なら、
受験回数より改善
が大事だと言います。
不合格。
↓
筆記が弱かった?
体力?
論文?
面接?
↓
改善。
↓
再受験。
これです。
同じ準備をして同じ受け方を繰り返しても、結果が変わらない可能性があります。
社会人経験者が面接で避けたい回答
特に注意したいのは、
「今の会社が嫌だから消防へ」
これは弱いです。
「安定した公務員だから」
これだけでも弱い。
「昔から憧れていました」
なら、
なぜ今まで受けなかったのか?
という質問が来るでしょう。
だから社会人なら、
これまでの経歴と消防志望を一本のストーリーにつなげる
ことが重要です。
例えばこう考える
例えば建設業勤務なら、
「現場で安全管理や災害対応に関わる中で、人命を守る仕事への思いが強くなった。これまで培った現場での安全意識やチームで動く経験を消防で活かしたい」
営業なら、
「多様な人と関わる中で身につけたコミュニケーション能力を、住民対応や災害現場で活かしたい」
などです。
重要なのは、
自分自身の経験から話すこと。
誰かの模範回答を丸暗記するより強いです。
新卒・既卒それぞれの強みを比較
| 項目 | 新卒 | 既卒・社会人 |
|---|---|---|
| 試験対策時間 | 確保しやすい場合あり | 仕事との両立が必要 |
| 学習習慣 | 残っている人が多い | ブランクがある場合あり |
| 体力 | 比較的作りやすい | 年齢に応じた対策が必要 |
| 社会人経験 | 少ない | 大きな武器になる |
| 面接材料 | 学生生活中心 | 仕事経験を使える |
| 志望動機 | なぜ消防か | なぜ転職して消防か |
| 採用上の立場 | 受験資格内なら挑戦可能 | 同様に受験可能 |
結局、
どちらにもメリット・デメリットがあります。
「結局どっちが受かりやすい?」への答え
ここまで読んだ人が知りたい答えはこれですよね。
私の答えは、
新卒・既卒だけを理由に、どちらが合格しやすいとは言えません。
東京消防庁は、新卒者と既卒者それぞれの合格率を公開していません。
そのため、
「新卒の合格率○%、社会人○%」
という比較はできません。
少なくとも現在の受験資格を見る限り、消防官Ⅰ類は既卒・社会人にも広く門戸が開かれています。
だから、
「自分は既卒だから不利」
と考えるより、
試験で何を改善するか
に時間を使う方がいいです。
社会人から東京消防庁を目指す人へ
もし現在、
25歳。
28歳。
30歳。
そして、
「今から消防士を目指すのは遅いかな」
と悩んでいるなら、
まず受験資格を確認してください。
受験できるなら、
その時点でチャンスはあります。
そして、
これまで社会人として積み上げた経験は、
捨てるものではありません。
消防へ持っていけます。
むしろ、
社会人を経験したからこそ、
消防士という仕事へ本気で向き合える人もいると思います。
よくある質問
東京消防庁は既卒でも受験できますか?
はい。
消防官Ⅰ類では、年齢・学歴等の要件を満たせば既卒者・社会人経験者も受験できます。2026年度は翌年度4月1日時点で35歳が上限です。
新卒の方が採用されやすいですか?
新卒と既卒それぞれの合格率は公開されていないため、どちらが有利と断定できません。
受験資格上も、新卒・既卒で別の消防官Ⅰ類試験になっているわけではありません。
民間企業から消防士になれますか?
可能です。
受験資格を満たし、採用試験に合格すれば消防官を目指せます。
30歳から東京消防庁を目指せますか?
2026年度消防官Ⅰ類は翌年度4月1日現在35歳まで受験可能です。ただし年度によって要件が変更される可能性があるため、必ず最新要項を確認してください。
社会人はSPI方式を受けられますか?
受験資格を満たせば消防官Ⅰ類の適性検査方式を受験できます。2026年度はSPI3-Uが採用されています。
まとめ|既卒・社会人でも東京消防庁を目指せる
この記事の結論です。
新卒だから有利。
既卒だから不利。
と単純に考える必要はありません。
2026年度の東京消防庁消防官Ⅰ類では、受験資格を満たせば、新卒だけでなく既卒・社会人経験者も受験できます。
そして社会人経験者には、
仕事経験。
失敗経験。
コミュニケーション。
チームワーク。
専門知識。
など、新卒にはない材料があります。
逆に新卒には、
学習時間。
若さ。
体力。
学生時代の経験。
があります。
重要なのは、
「新卒か既卒か」ではなく、自分の立場をどう強みに変えるか。
です。
私自身、東京消防庁へ入ってみて、
本当にさまざまな経歴を持つ同期と出会いました。
だから、
「もう新卒じゃないから」
という理由だけで諦める必要はありません。
受験資格があるなら、
まず挑戦する。
そして不合格なら、
原因を分析して改善する。
消防士になるまでの道は、
一つではありません。
消防士になるには?採用試験から消防学校まで元消防士が解説【2026年】
