消防学校を卒業できない人はいる?卒業できない理由を元東京消防庁消防士が解説
消防学校に入校したものの、「卒業できないことはある?」「訓練についていけなかったら辞めさせられる?」と不安に感じている方もいると思います。
結論からいうと、消防学校に入校した全員が必ず予定どおり卒業できるわけではありません。
私自身、東京消防庁に入庁し、消防学校で初任教育を受けました。実際に私の同期にも途中で消防学校を辞めた人がいました。
また、私自身も通常とは違う形で消防学校生活を経験しています。怪我と手術によって同期と一緒に卒業できず、本来約半年の消防学校を約10か月経験しました。
そのため、「消防学校を卒業できない」という状況は、単純に訓練についていけないケースだけではないことを実体験として知っています。
この記事では、元東京消防庁消防士の経験をもとに、消防学校を卒業できない・予定どおり卒業できない主な理由と、その後どうなるのかを解説します。
※消防学校の教育期間や運用、退校等の扱いは消防本部によって異なります。具体的な制度については所属する消防本部・消防学校の最新情報を確認してください。![]()
「消防学校を卒業できない人は実際にいる」
消防学校を途中で辞めたり、同期と同じタイミングで卒業できなかったりする人は実際にいます。
ただし、全国の消防学校について「入校者の何%が卒業できなかったのか」をまとめた全国一律の公的統計は確認できません。そのため、「○%は卒業できない」と断定するのは適切ではありません。
私が東京消防庁に入庁したときは約60人のクラスで、最初の1週間で2人が辞めました。
単純計算すると約3.3%ですが、これはあくまで私が経験した1クラスの事例です。全国の消防学校の退校率を示す数字ではありません。
そして重要なのは、消防学校を予定どおり卒業できない理由は一つではないということです。
訓練や集団生活に適応できず辞める人もいれば、別の消防本部を受験するために辞める人、そして私のように怪我や療養によって同期と同じ時期に卒業できないケースもあります。
因みに、僕は半年間で消防学校を卒業することができませんでした。笑
お恥ずかしい限りです。
消防学校では、卒業試験があります。
体力試験・実技試験・筆記試験全てにおいて基準を満たさなければ、卒業を先延ばしにされます。とは言っても、99%の人は卒業していきます。
自分の成績はと言うと、、、
・体力試験の成績・・・2位
・実技試験の成績・・・1位
・筆記試験の成績・・・不明
筆記試験は成績が掲示されなかったので、わかりませんが、体力・実技は上位5名は発表されていました。この成績はどう見ても優等生です。(自分で言うのもなんですが、、、)笑
では、なぜ優等生が卒業できなかったのか??
消防学校を卒業できない主な理由4つ
消防学校に入校したからといって、全員が必ず予定どおり卒業できるとは限りません。
実は、私自身が予定どおり消防学校を卒業できなかった一人です。
私は東京消防庁に入庁し、消防学校で訓練を受けていました。
消防学校では成績も良く、順調に卒業できると思っていました。
ところが、卒業間際に手術が必要になるほどの怪我をしてしまいました。
その結果、同期と一緒に卒業することができませんでした。
本来であれば約半年だった消防学校生活を、私はリハビリなどの関係で約10か月過ごしています。
当時は本当に悔しかったですし、
「このまま消防士を辞めようかな……」
と考えたこともあります。
それでも最終的には消防学校を卒業し、その後、消防士として勤務することができました。
私自身の経験も踏まえると、消防学校を予定どおり卒業できない理由としては、主に次の4つが考えられます。
① 怪我や病気で訓練を続けられない
まず、私自身が経験したのが怪我による卒業の遅れです。
消防学校では、座学だけでなく実技訓練も数多くあります。
そのため、大きな怪我や病気によって必要な訓練を受けられなくなると、予定どおり卒業できない場合があります。
私の場合は、消防学校を卒業する間際に怪我をして手術を受けることになりました。
それまで同期と同じように訓練を受けていたのに、自分だけ訓練ができなくなる。
そして、同期が卒業していく。
これは精神的にもかなりきつかったです。
「せっかく東京消防庁に入ったのに、このまま辞めることになるのかな」
そんなことまで考えました。
ただ、結果的にはリハビリを経て消防学校を卒業することができました。
通常であれば約半年の消防学校生活ですが、私は約10か月消防学校で過ごしました。
これは私の消防人生の中でも、かなり特殊な経験だったと思います。
だから、もし現在、
「怪我をしてしまった」
「同期と一緒に卒業できないかもしれない」
「もう消防士になれないのでは?」
と不安になっている人がいるなら、伝えたいことがあります。
同期と同じタイミングで卒業できないからといって、それだけで消防士としての道が終わるとは限りません。
私自身がそうでした。
もちろん、怪我や病気への対応、教育期間、卒業・修了の扱いなどは消防本部や個々の状況によって異なります。
自分だけで判断せず、教官や所属先、医師などと相談してください。
② 消防学校を途中で辞める
消防学校に入ってから、自分の意思で辞める人も実際にいます。
私が東京消防庁に入庁したときは、約60人のクラスで、最初の1週間に2人が辞めました。
消防士になるためには、倍率の高い採用試験を突破しなければなりません。
「そこまでして消防士になったのに、なぜ1週間で辞めるの?」
と思いますよね。
しかし、実際に消防学校へ入ってみないと分からないことがあります。
訓練だけでなく、
- 厳しい規律
- 集団行動
- 寮生活
- 人間関係
- 体力的な負担
- 精神的なプレッシャー
など、それまでの生活とは大きく環境が変わります。
私自身も消防学校生活を経験しているので分かりますが、体力があるだけで何とかなる世界ではありません。
消防士は災害現場で人命に関わる仕事です。
苦しい状況でも、自分の役割を果たさなければならない。
だからこそ消防学校でも、精神的にきついと感じる場面があります。
ただ、最初からすべて完璧にできる必要はありません。
私も同期に助けられました。
きつい訓練も、仲間がいるから乗り越えられることがあります。
「自分だけがきつい」と思い込まず、同期や教官など周囲を頼ることも大切です。
③ 本当にやりたい仕事が別に見つかる
これは多いケースではないと思いますが、実際に私の周囲にもいました。
私が消防士だった頃、本当はプロボクサーになりたかったものの、親の助言などもあって消防士になった人がいました。
しかし、最終的には自分が本当にやりたい道へ戻っていきました。
私はその選択も間違いではないと思っています。
実は私自身も、子どもの頃から親に、
「公務員になりなさい」
と言われて育ちました。
ある意味、親の影響を受けて消防士を目指した部分もあったと思います。
ただ、私の場合は実際に消防士になってみて、
「消防士という仕事が大好きだ」
と思えました。
消防学校でも夢中になって勉強や訓練に取り組み、良い成績を残すことができました。
だから、親の影響で選んだ道だから悪いということではありません。
大切なのは、最終的にその人生を歩くのは自分自身だということです。
消防士になって「やっぱりこの仕事が好きだ」と思う人もいます。
逆に、
「自分が本当にやりたいことは別にある」
と気づく人もいるでしょう。
本当に考え抜いた結果であれば、自分で選んだ道を進むことも一つの選択だと思います。
④ 別の消防本部を再受験する
これも私自身に関係する話です。
私は東京消防庁に入庁しましたが、もともとは将来的に大阪へ戻ることも考えていました。
まず東京消防庁で経験を積み、当時はレスキュー隊員を目指すという夢も持っていました。
その後、地方消防本部を受験し直すことも考えていました。
実際、私の周囲にも地方消防本部を再受験して、地元へ戻っていった人がいました。
逆のパターンもあります。
地方消防本部から東京消防庁を目指す人もいます。
消防士になりたいという気持ちは同じでも、
「地元で働きたい」
「東京で経験を積みたい」
「家族の近くで暮らしたい」
など、働きたい消防本部は人によって違います。
ただし、在職中の受験や退職については、必要な手続きや所属先のルールがあります。
自己判断で動かず、必要に応じて所属先へ確認してください。
消防学校を卒業できなかったらどうなる?
ここは、私の経験から特に伝えたいところです。
「同期と一緒に卒業できない=消防士を辞めなければならない」ではありません。
少なくとも、私は違いました。
私は消防学校卒業間際の怪我によって手術を受けることになり、同期と同じタイミングでは卒業できませんでした。
正直、当時はかなり落ち込みました。
周りは予定どおり進んでいるのに、自分だけ取り残される。
消防士になるために努力してきたのに、怪我によってすべてが崩れてしまったように感じました。
「もう辞めようかな」
そう考えたとき、母親から言われた言葉があります。
「あんたがなりたいって言って消防士になったんやけん。もっととことんやり。消防士になりたくても、なれへんかった子のこと考えな。」
この言葉で、私はもう一度頑張ろうと思いました。
そこからリハビリをして、最終的には消防学校を卒業。
その後、約3年半、消防士として勤務しました。
今振り返ると、同期と一緒に卒業できなかったことも、怪我をしたことも含めて、私にとって非常に大きな経験になっています。
もちろん、これはあくまで私のケースです。
現在の制度や対応は、消防本部・消防学校、怪我や病気の状態などによって異なります。
ただ、
「予定どおり卒業できない=人生が終わった」
なんてことはありません。
少なくとも私は、そこから消防士として働くことができました。
卒業が延びた約4か月、私は何をしていたのか
私の場合、同期と同じタイミングで卒業できなかった後も、すぐに消防学校を離れたわけではありません。
通常は約半年の消防学校生活ですが、私は結果的に約10か月を消防学校で過ごしました。
追加で過ごした約4か月のうち、最初の約3か月はリハビリを続けながら、教官や助教の補助をしていました。具体的には、書類のコピーや整理、不要な書類のシュレッダーなど、訓練を支える裏方の仕事です。
その後、身体が回復してからは、当時の後期生と一緒に実科訓練(消防技術訓練)へ参加しました。そして、初任教育の締めくくりとなる実科査閲を経て、最終的に消防署へ配属されました。
私にとっては、同期と一緒に卒業できなかったこと以上に、「卒業が延びた後にどのような時間を過ごしたのか」も大きな経験になっています。
ただし、これは私が東京消防庁の消防学校で経験したケースです。怪我や病気で予定どおり卒業できなかった場合の対応や教育期間は、消防本部や個々の状況によって異なります。
消防学校を辞めたいと思ったらどうする?
消防学校に入って、
「もう無理かもしれない」
「辞めたい」
と思っている人もいるでしょう。
私は「絶対に辞めるな」とは言いません。
私自身が最終的に消防士を辞めて、別の人生を歩いているからです。
ただし、一つだけ考えてほしいことがあります。
「消防士という仕事そのものを辞めたいのか。それとも、今が苦しいから辞めたいのか」
ここは分けて考えた方がいいです。
私も怪我をしたときは辞めようと思いました。
でも、消防士という仕事が嫌いだったわけではありません。
むしろ大好きでした。
怪我をして、同期と同じように進めなくなり、先が見えなくなったから辞めたくなったのです。
一時的に苦しいだけなら、そこで人生を決めてしまうのはもったいないかもしれません。
まずは同期、教官、上司、家族などに相談してみてください。
一方で、冷静に考えても、
「消防士という仕事自体が自分には合わない」
「本当にやりたい仕事が別にある」
という結論になるのであれば、違う道を考えることもできます。
私は消防士を退職した後、まったく違う仕事も経験しました。
それでも、消防士として働いた約3年半は、今でも人生の大きな財産です。
消防士を辞めたから、その経験が無駄になるわけではありません。
消防学校を辞めた後の仕事はどうする?
消防学校を辞めたいと思っている人にとって、もう一つ大きな不安が、
「辞めた後、何の仕事をすればいいの?」
だと思います。
特に消防士を目指して何年も勉強してきた人ほど、消防以外のキャリアを考えたことがないかもしれません。
私も消防士を辞めた後は、消防とは違う世界に進みました。
最初から現在の仕事や生き方が見えていたわけではありません。
消防士として培った、
- 規律
- 責任感
- 体力
- チームで動く力
- 人前で行動する力
- 緊急時でも冷静に対応する力
などは、消防以外の仕事でも活かせる部分があります。
だから、消防を辞めることを考えているからといって、
「自分には消防しかない」
と思い込む必要はありません。
ただし、勢いだけで辞表を出すのはおすすめしません。
消防を続けるのか。
別の消防本部を受けるのか。
民間企業へ転職するのか。
まずは選択肢を整理してから決めることをおすすめします。
消防学校を卒業するために意識したいこと
消防学校では、最初から何でもできる必要はありません。
体力がある人。
勉強ができる人。
要領がいい人。
人それぞれ得意・不得意があります。
私自身、消防学校では良い成績を残すことができました。
それでも、怪我という自分ではどうにもできない出来事によって、同期と同じタイミングで卒業できませんでした。
だからこそ思うのは、一人ですべてを抱え込まないことです。
体力が足りないなら鍛える。
勉強が分からなければ同期に聞く。
訓練で分からないことがあれば教官に確認する。
精神的にきつければ、誰かに相談する。
怪我をしたなら、焦らず治療する。
消防の仕事自体がチームで行う仕事です。
消防学校でも同期に支えられながら成長していきます。
「自分だけできない」と思い込む必要はありません。
よくある質問
消防学校は全員卒業できる?
全員が必ず予定どおり卒業できるとは限りません。
本人が途中で退職するケースもありますし、怪我や病気などによって同期と同じタイミングで卒業できないケースもあります。
私自身も怪我と手術によって卒業時期が遅れました。
具体的な卒業・修了要件については、各消防本部や消防学校へ確認してください。
消防学校を卒業できない人はどれくらいいる?
全国の消防学校について、途中退校者などを一律に示した公的統計は、私が確認した限りでは見当たりません。
私が東京消防庁に入庁したときは約60人のクラスで、最初の1週間に2人が辞めました。
ただし、これはあくまで私が経験した一つのクラスの事例です。
→ここに**「消防学校を辞める人の割合は?」の記事**を内部リンク。
消防学校で怪我をすると卒業できない?
怪我をしたからといって、必ず卒業できなくなるとは限りません。
私の場合は手術が必要になり、同期と同じタイミングでは卒業できませんでした。
それでもリハビリを経て消防学校を卒業し、その後消防士として勤務しました。
ただし、怪我の程度や現在の制度によって対応は異なりますので、所属先に確認してください。
消防学校を辞めても再び消防士を目指せる?
一度消防学校を辞めたからといって、すべての消防本部を二度と受験できないと一概には言えません。
実際、消防本部を変えて再受験する人もいます。
ただし、年齢などの受験資格や採用条件は消防本部・年度によって異なるため、希望する消防本部の最新の採用案内を確認してください。
まとめ|私は半年で消防学校を卒業できなかった
消防学校を予定どおり卒業できない理由は、一つではありません。
途中で辞める人もいれば、消防士以外の道へ進む人、別の消防本部を目指す人、怪我や病気によって卒業が遅れる人もいます。
そして、私は怪我によって予定どおり卒業できなかった一人です。
消防学校卒業間際に手術が必要になるほどの怪我をして、同期と一緒に卒業することができませんでした。
本来約半年の消防学校を、私は約10か月過ごしました。
当時は辞めようと思ったこともあります。
それでもリハビリをして消防学校を卒業し、その後、約3年半消防士として勤務しました。
消防士を退職した今でも、消防学校や消防士として過ごした時間は人生の大きな財産だと思っています。
だから、今消防学校で苦しんでいる人に伝えたいです。
予定どおりにいかなくても、それだけで人生が失敗になるわけではありません。
続けるのか。
別の消防本部を目指すのか。
違う仕事へ進むのか。
最終的には自分で決めることになります。
ただ、苦しい真っ只中で一人だけで結論を出さず、周囲にも相談しながら、自分が納得できる道を選んでください。
