消防士時代に学んだ仕事で大切なこと3選|段取り・反復・チームワークを元消防士が解説
私は東京消防庁で消防士として勤務したあと、消防とはまったく違う仕事も経験してきました。
消防。
飲食。
店舗運営。
マネジメント。
業界が変われば仕事内容も大きく変わります。
それでも、
「消防士時代に身につけた考え方は、仕事が変わっても使えるな」
と感じることがあります。
その中でも特に大きかったのが、
①仕事を段取りする力
②反復して改善する力
③チームの中で自分の役割を果たす力
の3つです。
この記事を最初に書いた2018年には、
「タスク管理・タイムマネジメント」
「仕事のクオリティ向上」
「忍耐力」
という3つを挙げていました。
考え方の土台は今も変わっていません。
ただ、消防を辞めて別の仕事や人を管理する立場も経験した今だからこそ、少し言葉を変えて整理してみます。
結論|消防士時代に学んだ仕事で大切なことは3つ
私が消防士時代の経験から学び、その後の仕事でも役立ったのは次の3つです。
| 消防で学んだこと | 一般の仕事で活かせる力 |
|---|---|
| 活動前に資器材・手順を確認する | 段取り・タスク管理 |
| ロープ結索などを何度も訓練する | 反復・改善・標準化 |
| 隊長の指示のもと隊で活動する | チームワーク・役割遂行 |
消防と一般企業では仕事内容が違います。
しかし、
仕事を整理する。
できるまで繰り返す。
チームの目的を理解して行動する。
という基本は、多くの仕事に共通すると思います。
消防の仕事は「本番で考えればいい」が通用しない
消防士時代、訓練で何度も行っていたものの一つが、
ロープ結索
です。
火災や救助活動では、ロープが自分や仲間、要救助者の安全に関わることがあります。
防火衣。
空気呼吸器。
ヘルメット。
手袋。
などを装備し、視界や動きが制限された状況で活動することもあります。
そんなとき、
「結び方なんだったかな?」
と一から考えている余裕はありません。
だから訓練では、
何度も、何度も繰り返す。
当時の記事にも、
目を閉じてもロープ結索ができるくらい自主訓練した
という趣旨を書いていました。
この経験が、消防を辞めた後の仕事にもかなり影響しています。
① 仕事は「段取り」でかなり変わる
消防士時代に学んだ一つ目は、
仕事を始める前に全体を把握すること
です。
私はこれを現在なら、
段取り力
と表現します。
まず「やること」を全部出す
例えば仕事が10個あるなら、
頭の中だけで覚えない。
まず全部出します。
そのうえで、
- 今日絶対必要
- 今日できればやる
- 明日以降でいい
- 他の人に依頼する
- そもそもやらなくていい
と分けます。
これだけでも仕事はかなり整理されます。
時間まで見積もる
次に、
それぞれ何分かかるか
を考えます。
例えば、
メール:20分
資料作成:60分
打ち合わせ:30分
請求書確認:30分
のようにします。
すると、
「今日は全部終わらない」
ということが仕事を始める前に分かります。
そうすれば、
優先順位を変える。
早めに相談する。
人へ頼む。
期限を調整する。
という判断ができます。
タスク管理の目的は「仕事を詰め込むこと」ではない
昔の私は、
短時間でどれだけ多くの仕事を処理できるか
という考えがかなり強かったです。
今は少し違います。
タスク管理の一番大きなメリットは、
「今、何をすればいいか」を明確にすること
だと思っています。
やるべきことが明確なら、
余計な焦り。
忘れ物。
やり直し。
を減らせます。
「なぜこの仕事をするのか」まで理解する
消防士時代にもう一つ身についたのが、
仕事に根拠を持つこと
です。
消防の仕事では、
「先輩に言われたからやる」
だけではなく、
なぜこの確認が必要なのか。
なぜこの手順なのか。
なぜこの資器材を準備するのか。
という理由があります。
私自身、分からないことがあったときも、すぐに人へ聞くのではなく、
まず教本や過去の資料を確認する。
↓
自分なりに考える。
↓
それでも分からなければ質問する。
という習慣を消防士時代に身につけました。
この考え方は消防を辞めた後の仕事でもかなり役立っています。
例えば仕事を任されたとき、
「とりあえず言われたとおりにやる」
だけではなく、
この仕事の目的は何か?
完成形は何か?
なぜこの方法なのか?
を考えるようになりました。
目的が分かれば、
必要のない作業を減らしたり、
もっと効率的な方法を考えたりできます。
だから私は現在でも、
仕事は「何をするか」だけではなく、「なぜするか」まで理解する
ことを大切にしています。
ゴールから逆算して準備する
私が仕事をするときに意識しているのは、
完成形から逆算すること
です。
例えば、
「資料を作る」
ではなく、
「明日の15時の会議で、この内容を説明できる状態にする」
をゴールにします。
そこから、
何時までに構成を作る。
何時までに数字を確認する。
何時までに上司へ確認する。
何時までに完成させる。
と逆算します。
消防士時代も、
災害が起きてから準備するのではなく、
出場する前。
訓練。
日常点検。
の段階から本番を想定して準備します。
私はこの考え方が、その後の仕事にもそのまま活きていると思っています。
仕事を効率化する方法はこちらの記事でさらに詳しくまとめています。
残業を減らして定時退社する34の仕事術|仕事が早い人の時間管理・効率化
② 仕事は「反復+改善」で速くなる
消防士時代に学んだ二つ目は、
繰り返すことの強さ
です。
ただし、
同じことを何も考えず100回やればいい、
という意味ではありません。
大切なのは、
反復しながら少しずつ改善すること
です。
最初から上手にできる人はほとんどいない
初めてロープ結索をする。
初めて消防資器材を扱う。
初めて報告書を書く。
最初から速く正確にできるわけではありません。
これは一般の仕事でも同じです。
初めてExcelで資料を作る。
初めて見積書を作る。
初めて部下へ仕事を教える。
最初は時間がかかります。
でも、
一度やる。
↓
失敗する。
↓
原因を見る。
↓
やり方を変える。
↓
もう一度やる。
これを繰り返せば、少しずつ速くなります。
反復すると「考えなくてもできる部分」が増える
仕事が速い人を見ると、
「頭の回転が速い」
と思うことがあります。
もちろん能力差もあります。
でも、それだけではありません。
多くの場合、
その仕事を何度も経験している
ということも大きいです。
例えば、
毎月同じ報告書を作るなら、
フォーマットを作る。
チェックリストを作る。
ファイル保存場所を決める。
よく使う文章をテンプレート化する。
これだけでも次回は速くなります。
消防の反復訓練と同じで、
毎回ゼロから考えなくていい仕組み
を作るわけです。
私自身、消防学校では反復して訓練を続けた結果、約60人のクラスで消防技術試験1位・体力試験2位という結果を残すことができました。
そのときに実践していた考え方はこちらの記事で詳しく書いています。
「長く働けば成長する」とは限らない
旧記事では、
「3年働かないと一人前」
「5年続けないとキャリアに傷がつく」
という考えに疑問を書いていました。
今でも、
年数だけで能力は決まらない
と思っています。
1年間でも、
毎日、
考える。
改善する。
振り返る。
人から学ぶ。
を繰り返した人と、
5年間ずっと同じ方法で仕事をした人。
どちらが成長しているかは、年数だけでは判断できません。
一方で、
マネジメント。
人材育成。
交渉。
経営。
専門技術。
などは、多くの経験を重ねて初めて分かることもあります。
だから私は今、
「何年働いたか」より「その期間に何を経験し、何を改善したか」
を見る方が大切だと考えています。
③ チームの中で「自分の役割」を果たす
消防士時代に学んだ三つ目が、
チームで仕事をすること
です。
消防活動は基本的に一人ではできません。
隊長。
機関員。
隊員。
救急隊。
救助隊。
指揮隊。
それぞれが自分の役割を持って動きます。
自分がやりたいことだけをするわけではない
若手消防士だった頃の私は、
救助隊員を目指していました。
だから、
筋トレしたい。
ロープを練習したい。
消防の知識を勉強したい。
という気持ちが強かったです。
でも実際の仕事では、
報告書。
掃除。
食事当番。
資器材管理。
雑務。
など、
自分が今やりたいこととは違う仕事
もたくさんあります。
旧記事にも、
「早く筋トレしたいのにな」
「他の消防知識を勉強したい」
と思いながら、与えられた仕事をしていたと書いています。
昔は「忍耐力」と表現していた
当時の私はこれを、
忍耐力
と表現していました。
ただ、現在なら少し変えます。
自分を犠牲にして我慢することが、仕事で一番大切なわけではありません。
無理な長時間労働。
理不尽な指示。
ハラスメント。
まで、
「チームのためだから我慢しろ」
と考える必要はありません。
私が消防から学んだ本質は、
チームの目的を理解し、その中で自分の役割を果たすこと
です。
「やりたい仕事」と「やるべき仕事」は違う
これは消防を辞めた後もかなり役立ちました。
例えば、
将来自分で飲食店を経営したい。
と思っていても、
日々の仕事には、
売上管理。
シフト。
仕入れ。
在庫。
掃除。
採用。
給与。
クレーム対応。
などがあります。
「経営者になりたいから経営戦略だけ考える」
では店は回りません。
夢や目標へ向かいながら、
今、自分がやるべき仕事も処理する。
消防士時代にその感覚を身につけられたことは、その後の仕事でも役立ちました。
私が25歳で消防士から飲食業界へ転職した経緯はこちらで詳しく書いています。
25歳で消防士から飲食業界へ転職した実話|3社内定・店長・独立までの道
消防士の経験は民間企業でも活かせる
消防士から転職しようとすると、
「消防しかやったことがない」
「民間で使えるスキルがない」
と思う人もいるかもしれません。
でも私は、消防の経験をそのまま職種名で考えない方がいいと思っています。
例えば、
消防隊活動
↓
チームワーク・役割分担
災害対応
↓
状況判断・危機管理
訓練
↓
反復・改善
資器材点検
↓
安全管理・チェック能力
報告書
↓
記録・報告
後輩指導
↓
教育・OJT
というように変換できます。
消防で培った経験そのものではなく、
その経験を通して、どんな能力を身につけたか
を見ることが重要です。
消防士から転職する前の準備はこちらで詳しく解説しています。
消防士から転職する前にやること7選|元東京消防庁消防士が退職前の準備を解説
消防士に向いている人にも共通する3つの力
今回紹介した3つは、
消防士として働くうえでも重要だと思います。
段取り力
災害現場へ行ってから、
「あれがない」
では困ります。
日頃から準備・点検することが重要です。
反復する力
消防は採用されたら勉強終了ではありません。
訓練・消防知識・体力づくりを継続します。
チームで動く力
一人だけ突出して能力が高くても、隊として連携できなければ意味がありません。
消防士に必要な能力についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。
消防士になるために必要な能力とは?元東京消防庁消防士が実体験から解説
今の私が仕事でさらに大切だと思うこと
消防時代には、
「とにかく自分が成長しなければ」
という気持ちがかなり強かったです。
今は、
自分一人が速く仕事をするだけでは組織は強くならない
とも感じています。
例えば、
自分だけが分かる仕事。
自分しかできない仕事。
自分に全部質問が来る仕事。
これでは組織として弱い。
だから、
マニュアル化。
標準化。
情報共有。
教育。
権限移譲。
まで考える。
消防士時代に学んだ「反復」と「チームワーク」は、最終的には、
個人の能力を、組織として再現できる仕組みにする
という考え方にもつながっていると思います。
仕事で大切なことについてよくある質問
仕事で一番大切なことは何ですか?
職種によって異なりますが、私は「目的を理解し、必要な行動を継続すること」が土台だと考えています。
そのために、段取り・改善・チームワークが必要になります。
消防士時代の経験は転職後も役立ちましたか?
役立ちました。
特に、時間を決めて仕事を進めること、反復して改善すること、チームの中で役割を果たすことは、飲食業界など消防以外の仕事でも使えました。
仕事は何年続ければ一人前になりますか?
一律には決められないと思います。
職種・本人の経験・専門性によって大きく変わります。
年数だけではなく、その期間に何を経験し、どれだけ改善したかを見る方が重要です。
我慢することも仕事では必要ですか?
ある程度、自分がやりたくない仕事を担当する場面はあります。
ただし、長時間労働やハラスメントなどまで「忍耐力」で片付ける必要はありません。
「役割を果たすこと」と「理不尽に耐えること」は分けて考えるべきだと思います。
消防士はチームワークが重要ですか?
非常に重要です。
消防活動は隊単位で行うため、自分の役割だけでなく、隊全体の目的や動きを理解して行動する必要があります。
まとめ|消防士時代に学んだことは、仕事が変わっても使える
私が東京消防庁で消防士として働いた経験から学んだ、仕事で大切なことは3つです。
① 段取り・タスク管理
やるべき仕事と必要な時間を把握する。
② 反復・改善
同じ仕事を繰り返すだけではなく、毎回少しずつ良くする。
③ チームワーク・役割遂行
自分がやりたい仕事だけでなく、チームの目的を理解して必要な役割を果たす。
消防士時代には、
ロープ結索。
訓練。
報告書。
資器材点検。
隊活動。
などを通じて、この考え方を身につけました。
当時は、
「消防士として必要だから」
やっていました。
でも消防を辞め、違う仕事を経験して分かったのは、
仕事が変わっても、仕事の基本は意外と変わらない
ということです。
準備する。
繰り返す。
改善する。
人と協力する。
そして、
自分に与えられた役割を果たす。
特別派手な能力ではありません。
でも、
私はこうした基本を何年も積み重ねられる人が、最終的には強いと思っています。
