消防士から転職する前にやること7選|元東京消防庁消防士が退職前の準備を解説
「消防士を辞めて民間企業へ転職したい。でも何から始めればいい?」
「消防しか経験していない自分が民間企業で通用するのか不安」
「先に退職してから転職活動をした方がいい?」
消防士からの転職を考え始めると、このような疑問が出てくると思います。
私は東京消防庁で消防士として勤務した後、消防とは違う世界へ転職しました。
実際に消防を辞めて感じたのは、
消防士から民間企業への転職は十分可能。ただし、勢いだけで辞めるのはおすすめしない
ということです。
この記事を最初に書いた2019年には、
「消防以外のスキルを身につけておかなければ転職は厳しい」
という内容をかなり強く書いていました。
今なら、もう少し正確に伝えます。
消防士にも、
- チームで行動する力
- 安全管理
- 危機対応
- 責任感
- 住民対応
- 報告・連絡・相談
- 後輩指導
- 訓練・改善
- 体力・継続力
など、民間企業で活かせる経験があります。
ただし、
「消防士でした」だけでは企業側へ伝わりません。
だからこそ、辞める前の準備が重要です。
私なら、消防士から転職する前に次の7つをやります。
① 消防士を辞めたい理由を整理する
② 次の仕事で実現したい条件を決める
③ 消防経験を民間企業向けに言語化する
④ 在職中に求人・転職市場を確認する
⑤ 必要な資格・スキルだけ身につける
⑥ お金・家族・生活の準備をする
⑦ 退職のタイミングを慎重に決める
順番に解説します。
結論|最初に退職するのではなく「選択肢を作ってから決める」
私が一番伝えたいことはこれです。
消防を辞めるかどうか決める前に、消防以外の選択肢を調べてください。
転職サイトを見る。
求人を見る。
企業の話を聞く。
必要な経験を調べる。
年収を確認する。
これをやったからといって、消防士を辞める必要はありません。
実際に民間企業を調べて、
「消防の方が自分には合っている」
と思えば、残ればいいんです。
現在リライト済みの転職記事でも、私は「消防士として働きながら情報収集や転職活動を始める」という考え方をおすすめしています。
消防士を辞めるかどうか自体で悩んでいる人は、先にこちらを読んでください。
消防士を辞めたいと感じるのはどんな時?元東京消防庁消防士が嫌だったこと5つを解説
① 消防士を辞めたい理由を整理する
最初にやるべきなのは、
転職サイトへの登録ではありません。
まず、
「なぜ消防士を辞めたいのか?」
を整理してください。
例えば、
- 24時間勤務が合わない
- 夜間出場がきつい
- 人間関係
- 上下関係
- 訓練
- 給料
- 転勤・異動
- 家族との時間
- もっと違う仕事をしてみたい
- 専門スキルを身につけたい
- 将来のキャリアに不安がある
などです。
「消防が嫌」ではなく、何が嫌なのか分解する
ここはかなり重要です。
例えば、
「消防士を辞めたい」
と思っていても、実際には、
「今の上司が嫌」
だけかもしれません。
それなら異動で状況が変わる可能性があります。
逆に、
24時間勤務そのものが合わない。
災害対応から離れたい。
全く違う仕事をしたい。
というのであれば、転職を検討する意味があります。
つまり、
今抱えている問題が、転職しなければ解決できない問題なのか?
を最初に考えます。
② 次の仕事で実現したい条件を決める
「消防士を辞めたい理由」が分かったら、次は、
転職して何を変えたいのか
を決めます。
例えば、
- 年収
- 休日
- 勤務時間
- 夜勤の有無
- 勤務地
- 転勤
- 家族との時間
- 仕事内容
- 将来性
- 専門性
- 昇給
- 働き方
などです。
優先順位を3つ決める
全部を満たす会社を探すと、なかなか決まりません。
そこで私は、
絶対に譲れない条件を3つ
くらい決めることをおすすめします。
例えば、
① 年間休日120日以上
② 年収○○万円以上
③ 徳島県内勤務
などです。
逆に、
「年収は少し下がってもいいから、家族との時間を増やしたい」
という人もいるでしょう。
重要なのは、
他人ではなく、自分が何を優先するか
です。
消防士からの転職全体については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
消防士から転職したい人へ|元東京消防庁の消防士が転職先・辞めた後のリアルを解説
③ 消防経験を「民間企業で伝わる言葉」に変える
消防士から転職するときに、
ここがかなり重要です。
消防の中では当たり前の経験でも、民間企業の採用担当者には伝わらないことがあります。
例えば、
「ポンプ隊員として勤務していました」
だけでは、
消防に詳しくない採用担当者には、その凄さが分かりません。
消防経験を翻訳する
例えば、
ポンプ隊
↓
「複数人のチームで役割を分担し、緊急時でも安全性を確認しながら迅速に業務を遂行した経験」
訓練
↓
「業務上の課題を洗い出し、反復訓練によって改善した経験」
後輩指導
↓
「新人教育・OJT経験」
災害現場
↓
「突発的な状況でも優先順位を判断しながら対応した経験」
住民対応
↓
「幅広い年齢・立場の方への説明・対人対応経験」
というように変換できます。
消防士には民間でも使える力がある
消防士は特殊な仕事です。
だから、
「消防以外では何もできない」
と思いやすい。
でも実際には、
消防で身につけた能力を民間企業側の言葉に変換できていないだけ
というケースがあります。
私自身、消防を辞めた後に消防とは違う業界を経験しています。現在のプロフィールでも、消防退職後に民間企業・別業界へ進んだ経験を紹介しています。
④ 在職中に求人・転職市場を確認する
ここから実際の転職活動です。
私はできるだけ、
消防士として働いている状態で、求人を見ること
をおすすめします。
理由は単純です。
比較できるから。
今の消防士としての、
年収。
休日。
福利厚生。
勤務時間。
仕事内容。
と、
民間企業を比較できます。
求人を見るだけでも意味がある
例えば求人を20社見るだけでも、
「思ったより給料が低いな」
「この業界は資格が必要なんだ」
「意外と消防経験を活かせそう」
「この会社なら興味がある」
などが分かります。
それだけで転職の解像度が上がります。
合同企業説明会や転職フェアを利用して「外の世界」を知る方法もあります。現在リライト済みの記事でも、消防士として在職中に複数の企業・業界を見ることをおすすめしています。
消防士から転職するなら合同企業説明会は行くべき?メリット・活用法を解説
まずは「辞める」ではなく、求人を見る
消防士を辞めるか決めていなくても、求人を見ることはできます。
むしろ、
辞める前に見ておく方がいい
と私は思います。
消防以外にはどんな仕事があるのか。
年収はいくらなのか。
自分の経験で応募できるのか。
どんなスキルが求められるのか。
まず確認してください。
消防を辞めるか決める前に、まず選択肢を確認
転職したからといって、必ず消防を辞める必要はありません。
今の経験で応募できる求人や、民間企業の給与・休日を確認してから判断しましょう。▶ 無料で求人・転職サポートを確認する
⑤ 必要な資格・スキルだけ身につける
旧記事では、
「英語やプログラミングなど、何か別のスキルを身につけるべき」
という主張をしていました。
今は少し考え方が違います。
転職先も決まっていないのに、何となく資格を取る必要はありません。
まず、
行きたい業界。
職種。
企業。
を調べる。
そのうえで、
必要なら勉強する。
この順番です。
例えば建設業なら
施工管理技士。
CAD。
測量。
建設業界の知識。
などが役立つ可能性があります。
ITなら、
ITパスポート。
プログラミング。
クラウド。
など。
人事・総務なら、
労務。
採用。
PCスキル。
など。
営業なら、
必ずしも資格より、
コミュニケーション。
実績。
対人対応。
の方が評価されることもあります。
「資格を取ること」が目的にならない
資格は、
転職するための手段
です。
「転職が怖いから、とりあえず資格を10個取ろう」
ではなく、
「この職種に行きたい。そのために〇〇が必要だから取得する」
という順番にしてください。
⑥ 生活費・家族・お金の準備をする
消防士から転職するとき、
仕事内容だけでなく、
生活がどう変わるか
も確認してください。
例えば、
- 初年度年収
- 賞与
- 残業代
- 住宅手当
- 通勤費
- 休日数
- 家族手当
- 退職から入社までの期間
- 引っ越し
- 通勤距離
などです。
消防士は公務員なので、
消防の中にいると、
福利厚生や安定性を当たり前に感じてしまう
ことがあります。
辞めてから、
「消防って結構条件良かったんだな」
と気づく可能性もあります。
年収だけで比較しない
例えば、
消防士:年収500万円
転職先:年収550万円
なら、
「転職した方が得!」
と思うかもしれません。
でも、
消防士:休日が多い。
転職先:年間休日100日。
残業が多い。
転勤あり。
だったら、人生全体ではどうでしょうか。
だから、
年収+時間+福利厚生+仕事内容
で比較してください。
⑦ 転職先が見える前に勢いで退職しない
最後が一番大切です。
私自身、若い頃はかなり勢いで行動した部分があります。
だからこそ今なら、
「辞めてから考える」より、「考えてから辞める」
をおすすめします。
もちろん、
すぐ離れなければならない特別な事情がある場合は別です。
ただ、
「今日上司に怒られた」
「訓練が嫌だった」
「今の部署が嫌」
という一時的な感情だけで、
その日のうちに人生を変える決断をする必要はありません。
退職届を出す前に最低限確認したいこと
私は最低でも、
- 次に行きたい業界
- 転職先候補
- 想定年収
- 仕事内容
- 勤務地
- 休日
- 必要スキル
- 家族の理解
- 生活資金
までは確認します。
内定を得られる可能性まで確認できれば、さらに判断しやすくなります。
消防士から転職すると年収は下がる?
これは、
転職先によります。
未経験業界へ転職する場合、
最初は給与が下がる可能性があります。
一方で、
経験。
資格。
業界。
役職。
成果。
によって、将来的に消防士時代を上回る可能性もあります。
だから、
「転職したら絶対年収アップ」
とも、
「消防を辞めたら絶対給料が下がる」
とも言えません。
重要なのは、
初年度だけでなく3年後・5年後まで見ること
です。
消防士から民間企業へ転職するなら何をアピールする?
私は主に次のような経験を棚卸しします。
チームワーク
消防は基本的に一人で完結する仕事ではありません。
隊として行動します。
安全管理・危機管理
事故を起こさないために、
確認。
報告。
訓練。
危険予知。
を行います。
緊急時の対応力
想定外の状況で落ち着いて行動する経験があります。
コミュニケーション
隊員だけでなく、
住民。
傷病者。
家族。
関係機関。
など多様な相手と接します。
継続力
消防士は採用後も訓練・勉強・体力づくりが必要です。
これらは業界が変わっても使える能力です。
20代と30代では転職戦略を変えた方がいい
20代であれば、
未経験職種へのポテンシャル採用
も狙いやすいケースがあります。
一方、年齢が上がるにつれて、
「何ができますか?」
「これまで何を経験しましたか?」
という部分がより重要になります。
だから30歳前後で転職を考える場合は、
年齢だけで焦るのではなく、
消防経験をどう次の仕事につなげるか
を具体化してください。
30歳前後の消防士・公務員転職については、こちらの記事もリライト対象ですが、現在の記事でも考え方を紹介しています。
転職活動を始めても消防を辞めなくていい
これは何度でも言いたいです。
転職サイトを見る。
エージェントに相談する。
企業説明会へ行く。
面接を受ける。
だからといって、
消防を辞める義務はありません。
民間企業を知った結果、
「やっぱり東京消防庁で頑張ろう」
となってもいい。
それは転職活動が失敗したのではなく、
比較したうえで消防を選んだ
ということです。
私自身も現在のブログでは、「消防に残る」「辞める」のどちらかを押し付けるのではなく、読者が選択肢を知ったうえで判断することを大切にしています。
消防士から転職する前にやることチェックリスト
転職を考えている人は、ここだけでも保存してください。
退職理由
□ なぜ消防士を辞めたいのか説明できる
希望条件
□ 給与・休日・勤務地など優先順位を決めた
キャリア棚卸し
□ 消防で身につけた能力を書き出した
求人確認
□ 複数の求人・業界を確認した
スキル
□ 行きたい職種に本当に必要なスキルを確認した
お金
□ 転職後の収入・生活費を確認した
家族
□ 家族がいる場合は転職について相談した
退職
□ 勢いだけで退職を決めていない
このうち半分以上が空欄なら、
まだ辞める準備より、情報収集を優先した方がいい
と思います。
自分が民間企業でどう評価されるか確認する
「消防士しか経験していないから、自分には転職先がない」
と決めつける必要はありません。
逆に、
「消防士ならどこでも採用される」
とも考えない方がいいです。
一番早いのは、
実際の求人と、自分の経験を照らし合わせること。
消防士として働きながら、自分の市場価値を確認
求人を見るだけなら退職する必要はありません。
消防経験を活かせる仕事、必要なスキル、想定年収を確認してから次の一歩を決めましょう。▶ 無料で転職の選択肢を確認する
消防士からの転職についてよくある質問
消防士を辞めてから転職活動した方がいい?
特別な事情がなければ、私は在職中から求人確認や情報収集を始めることをおすすめします。
消防士として働きながらなら、現在の条件と転職先を比較しやすいからです。
消防士は民間企業で不利?
一概に不利とは言えません。
ただし消防特有の業務内容を、そのまま話しても企業側に伝わらない可能性があります。
自分の経験を「安全管理」「チーム行動」「緊急対応」「新人教育」など、民間企業にも分かる言葉へ変換することが重要です。
転職するなら資格を取った方がいい?
行きたい職種で必要なら取得する価値があります。
しかし、転職先も決まっていない状態で「とりあえず資格」を増やす必要はありません。
まず業界・職種を決めましょう。
転職先が決まる前に辞めてもいい?
状況によりますが、私は可能であれば次のキャリアをある程度具体化してから判断することをおすすめします。
現在の転職記事でも、勢いだけで退職せず、在職中から求人や希望条件を確認する考え方を紹介しています。
消防士を辞めるのはもったいない?
「もったいないか」は人によります。
公務員としての安定・福利厚生・消防のやりがいを重視するなら続けるメリットがあります。
一方、別の仕事・生活・キャリアを強く望むなら、転職する選択肢もあります。
まとめ|消防士から転職するなら「辞める準備」より「選べる準備」をする
消防士から民間企業へ転職する前にやってほしいのは、
① 消防士を辞めたい理由を整理する
② 次の仕事で実現したい条件を決める
③ 消防経験を民間企業向けに言語化する
④ 在職中に求人・転職市場を確認する
⑤ 必要な資格・スキルだけ身につける
⑥ お金・家族・生活の準備をする
⑦ 退職のタイミングを慎重に決める
この7つです。
この記事を最初に書いた頃の私は、
「消防士から民間へ行くなら、別のスキルを身につけておかなければ厳しい」
と考えていました。
今は少し違います。
消防士として経験してきたことにも価値があります。
ただ、
その価値を自分で理解し、企業に伝えられる形へ変える必要がある。
そして、足りない部分が分かったら、そのとき初めて必要なスキルを補えばいい。
私は消防士を辞めた経験があります。
だから、
「消防士は絶対辞めるな」
とも、
「消防士を辞めて転職しよう」
とも言いません。
一番避けたいのは、
選択肢を知らない状態で、勢いだけで人生を決めること。
です。
求人を調べる。
民間企業を知る。
自分の強みを整理する。
消防を続けた場合と比較する。
そこまでやってから、
消防を続ける。
転職する。
を決めればいいと思います。
消防士として働きながら転職活動を始めても構いません。
まずは、
辞める準備ではなく、「自分で選べる状態」を作ること。
そこから始めてください。
