消防士になった後も体力テストはある?東京消防庁の体力測定を元消防士が解説
「消防士って採用試験に合格したら、もう体力テストはないの?」
「消防学校でも体力測定する?」
「消防署へ配属された後も走ったり筋トレしたりするの?」
消防士を目指している人なら、気になるところだと思います。
私は東京消防庁の採用試験を受験し、消防学校を卒業後、消防署で勤務しました。
先に結論を言うと、
消防士は採用試験に合格したら体力テストと一生無縁になるわけではありません。
私自身、消防学校でも体力測定を経験しました。
さらに現在公開されている東京消防庁の公式資料では、職員の体力を把握するため、文部科学省の新体力テストを毎年実施していることが確認できます。
旧記事では「消防学校卒業前の体力テストが人生最後になる人が多い」と書いていました。
これは現在確認できる情報とはズレるため、今回訂正します。
結論|東京消防庁では採用後も体力測定がある
消防士になるまでにも体力検査があります。
2026年度の東京消防庁消防官Ⅰ類では、第2次試験で、
- 1km走
- 反復横とび
- 上体起こし
- 立ち幅とび
- 長座体前屈
- 握力
- 腕立て伏せ
による体力検査が実施されています。
しかし、
「採用試験を突破したら終わり」ではありません。
消防学校でも身体を鍛えますし、消防署へ配属された後も、消防活動に必要な体力を維持する必要があります。
採用試験時の体力検査については、こちらで詳しく解説しています。
消防士の体力試験はどれくらい?種目・目安・対策を元東京消防庁消防士が解説
東京消防庁では職員の新体力テストを毎年実施している
ここが今回のリライトで一番重要です。
東京消防庁の消防科学セーフティレポートでは、
東京消防庁では職員の体力を把握するため、文部科学省の新体力テストを毎年実施している
ことが示されています。
公式研究では、新体力テストのうち、
- 握力
- 上体起こし
- 長座体前屈
- 反復横とび
- 20mシャトルラン
- 立ち幅とび
などの結果を用いて東京消防庁職員の体力状況を分析しています。
つまり、
消防士は採用された後も、自分の体力状況を把握しながら仕事を続けていく職業
と考えた方が正確です。
毎日勤務になれば体力テストはなくなる?
旧記事では、
「毎日勤務に入れば体力錬成を避けられる」
という趣旨を書いていました。
ここも修正します。
東京消防庁の公式研究では、新体力測定の分析対象として、
毎日勤務員、指揮隊、ポンプ隊、救急隊、はしご隊
などの職員データが使用されています。
そのため、
「事務系・毎日勤務になれば体力測定とは完全に無縁になる」
と考えるのは適切ではありません。
もちろん、ポンプ隊と本庁勤務では日常的に身体を使う量は違うでしょう。
しかし、消防職員として一定の健康・体力管理が求められるという点は同じです。
私も消防学校で体力測定を受けた
ここからは私自身の実体験です。
私が東京消防庁消防学校にいた当時も、
消防学校で体力測定がありました。
採用試験を突破して、
「これでもう体力テストは終わり!」
とはなりませんでした(笑)。
消防学校では、
走る。
筋力トレーニング。
消防活動訓練。
資器材操作。
など、身体を使う教育が続きます。
消防学校の体力テスト種目は現在どうなっている?
旧記事では、
「採用試験と90%同じ」
「懸垂、1,500m走、20mシャトルランが追加される」
と書いていました。
これは私が在校していた当時の経験としては残せますが、2026年現在の消防学校の具体的な測定種目として断定するのは避けます。
現在公開されている東京消防庁の情報からは、消防学校内で実施される体力測定の全種目・評価基準までは確認できません。
したがって、
私が在校していた当時は、このような体力測定を経験した。ただし現在の実施種目は入校後の最新指示を確認してください。
という書き方に変更します。
消防学校では「体力テストの点数」だけが重要ではない
消防学校で必要なのは、
単純に、
「走るのが速い」
「腕立てが多くできる」
だけではありません。
消防活動では、
防火衣。
空気呼吸器。
ホース。
はしご。
救助資器材。
などを扱います。
疲れている状態でも、
安全確認。
判断。
仲間との連携。
が必要です。
ですから、
消防士の体力は「スポーツの記録」ではなく、現場活動を最後まで安全に続けるための土台
と考えた方がいいです。
消防士に必要な能力については、こちらの記事で詳しく整理しています。
消防士に必要な能力5つ|元東京消防庁消防士が「最も重要」と感じた力とは?
私は消防学校で1,500m走がかなり速くなった
私の場合、消防士になりたての頃、
1,500m走は5分25秒前後
だったと記憶しています。
それが消防学校を卒業する頃には、
4分45秒程度
まで縮まりました。
約40秒です。
これはかなり大きな変化でした。
理由は、
特別な才能というより、
継続して走ったこと
です。
私がやっていたインターバルトレーニング
当時よくやっていたのが、
インターバル走
です。
例えば、
200mインターバル
200mを速く走る
↓
100〜200m程度をジョグ
↓
再び200m
という繰り返し。
400mインターバル
400mを速く走る
↓
200〜400m程度をゆっくり走る
↓
再び400m
という形です。
ただし、旧記事では、
「200m×10セットを週2〜3回」
など、かなり固定的なトレーニングメニューとして書いていました。
現在は、万人にそのままおすすめする書き方はしません。
体力レベル。
年齢。
怪我歴。
疲労。
などで適切な負荷は変わるからです。
特に消防士を目指す人は、
怪我をしないことも試験対策の一部
だと考えてください。
自分より速い人と一緒に走るのは効果があった
これは私にはかなり合っていました。
自分より走力が高い同期と一緒にトレーニングすると、
「ここまでついていこう」
という目標ができます。
一人ならペースを落とす場面でも、
少し粘れます。
消防学校で実技・体力の成績を伸ばした方法については、こちらの記事でも詳しく書いています。
消防学校で実技1位・体力2位を取れた理由|元東京消防庁消防士が実践した5つのこと
ただし「毎日限界までやる」はおすすめしない
私自身、消防学校時代はかなり身体を追い込んでいました。
そして結果的に、
怪我をして手術まで経験しています。
だから今なら、
「誰よりも練習しろ」
だけではなく、
「継続できる量で、正しく練習しろ」
と言います。
消防士は身体が資本です。
疲労が蓄積した状態で無理にトレーニングして怪我をすれば、
採用試験。
消防学校。
消防署勤務。
すべてに影響します。
消防士は普段どんな体力を使う?
消防活動では、単純な筋力だけでは足りません。
例えば火災なら、
重い防火装備を着る。
ホースを延長する。
階段を上がる。
資器材を搬送する。
長時間活動する。
といった動きがあります。
東京消防庁でも、消防活動に必要な体力を可視化するため、通常の新体力テストだけでは捉えにくい能力を測定する**「消防版体力テスト」5種目**を研究・考案しています。
この研究では18〜65歳の消防職員839人を対象に測定が行われました。
つまり東京消防庁自身も、
一般的な体力と、実際の消防活動で必要となる身体能力は完全に同じではない
と考えて研究しているわけです。
年齢を重ねても体力管理が必要
消防士になると、
20代。
30代。
40代。
50代。
さらに定年引上げに伴い60歳以降も働く職員が増えていきます。
東京消防庁が消防版体力テストを研究した背景にも、
加齢による体力低下を把握し、現場活動能力を維持する
という目的があります。
ですから、
「若いうちだけ身体を鍛えればいい」
という仕事でもありません。
特別救助隊を目指すなら、さらに高い体力が必要
旧記事では、
「救助隊試験ではさらにハードな体力テストがある」
と書いていました。
現在の東京消防庁採用サイトでも、特別救助隊員になるには、
庁内の選抜試験を突破し、約1か月の研修を修了する必要がある
と案内されています。
ただし、現在の公開ページでは選抜試験の具体的な体力種目までは示されていません。
そのため、
「○mを何秒」
「懸垂○回」
などを現在の選抜基準として書くのは避けます。
とはいえ、特別救助隊が高い身体能力を必要とする職務であることは明らかです。
東京消防庁の過去の職種別体力評価でも、特別救助隊は高い体力評価を示しています。
ハイパーレスキューを目指していた私
私自身、
消防士を目指した頃から、
救助隊。
さらにその先のハイパーレスキュー。
を目標にしていました。
映画を見てモチベーションを上げたり、
走ったり、
筋トレしたり、
消防技術を練習したり。
かなり夢中になっていました。
だから消防学校の体力測定も、
「合格できればいい」
というより、
「もっと強くなりたい」
という感覚でした。
その結果、約60人のクラスで体力2位までいけました。
ただ、先ほど書いたように、無理をしすぎて怪我もしました。
今振り返ると、
強くなることと身体を壊さないことの両立
が一番重要だったと思います。
体力に自信がなくても消防士になれる?
ここまで読むと、
「自分は運動が得意じゃないから無理かも……」
と思う人もいるでしょう。
最初からトップアスリートである必要はありません。
採用試験には体力検査がありますが、
消防士になるためには、
筆記。
面接。
体力。
その他の試験。
を総合的に突破する必要があります。
東京消防庁Ⅰ類でも、第2次試験では身体・体力検査と個人面接が実施されます。
消防士になるまでの全体像はこちらで詳しく解説しています。
採用試験のためだけに鍛えない方がいい
私はこれが一番伝えたいです。
消防士採用試験の体力検査は、
消防士になるための入口
にすぎません。
合格後には消防学校があります。
その後には消防署勤務があります。
そして東京消防庁では、職員の体力把握のため毎年の新体力テストも実施されています。
だから、
体力試験の日だけ突破できる身体
ではなく、
消防士として長く働ける身体
を作った方がいいと思います。
消防士になった後の体力テストについてよくある質問
消防士になった後も体力テストはありますか?
東京消防庁の公式資料では、職員の体力把握を目的として文部科学省の新体力テストを毎年実施していることが確認できます。
消防学校でも体力測定はありますか?
私が東京消防庁消防学校に在校していた当時はありました。
ただし、現在の消防学校で実施する具体的な種目・評価基準は公開情報で確認できないため、入校後の最新指示を確認してください。
毎日勤務になれば体力テストはありませんか?
「毎日勤務なら完全に体力測定と無縁」とは言えません。
東京消防庁の体力研究では、毎日勤務員の新体力測定データも分析対象となっています。
消防士は何歳まで身体を鍛える必要がありますか?
消防活動へ従事する限り、体力・健康管理は重要です。
東京消防庁も定年引上げを見据え、高年齢職員の現場活動能力と体力について研究しています。
救助隊になるには体力試験がありますか?
東京消防庁の特別救助隊は、庁内の選抜試験を突破し、研修を修了する必要があります。ただし、現在公開されている採用サイトでは具体的な選抜種目までは明示されていません。
まとめ|消防士は採用後も体力と付き合い続ける仕事
この記事を最初に書いた2019年には、
「消防学校卒業前の体力テストが、多くの消防士にとって最後」
という趣旨を書いていました。
現在確認できる東京消防庁の公式情報では、これは修正が必要です。
東京消防庁では、
職員の体力把握のため、新体力テストを毎年実施しています。
消防士になる流れを考えると、
採用試験
↓
消防学校
↓
消防署配属
↓
継続的な体力管理
です。
つまり、
消防士は採用試験に受かった瞬間が、体力づくりのゴールではありません。
むしろ始まりです。
ただし、
毎日限界まで走る。
毎日筋トレする。
怪我するまで追い込む。
という話でもありません。
仕事に必要な体力を理解して、
トレーニングする。
休む。
食べる。
寝る。
怪我を防ぐ。
これら全部を含めて、
消防士としての体力管理
だと思います。
私自身、消防学校で1,500mのタイムを大きく伸ばし、クラスで体力2位になりました。
一方で、身体を追い込みすぎて怪我もしました。
だから今、これから消防士を目指す人に伝えるなら、
「試験を突破できる身体ではなく、消防士を続けられる身体を作ろう」
です。
これが一番大切だと思います。
