「消防士は階級が上がると、どれくらい給料が増える?」

「救助隊員は普通の消防士より給料が高い?」

「消防司令補や消防司令になると年収はいくら?」

消防士を目指している方なら、一度は気になると思います。

私は東京消防庁で消防士として勤務していました。

この記事を最初に書いた2020年には、消防士・消防副士長・消防士長・消防司令補などについて、おおまかな年収を紹介していました。

しかし現在あらためて公的資料を確認すると、

東京消防庁は「消防士長の平均年収○○万円」「消防司令補の平均年収○○万円」という階級別平均年収を公式には公表していません。

そして実際の給与は、

  • 階級
  • 職務の級
  • 号給
  • 勤続年数
  • 地域手当
  • 時間外勤務手当
  • 扶養・住居・通勤手当
  • 特殊勤務手当

などによって変わります。

そこで今回は、根拠のない「階級別平均年収」を断定するのではなく、

東京消防庁の階級と給与がどのようにつながっているのか

を2026年の最新情報をもとに解説します。

結論|東京消防庁は階級が上がれば給与も上がる。ただし年収は階級だけでは決まらない

結論から言うと、

昇任して職責が上がれば、基本的には給与水準も上がっていきます。

ただし、

消防司令補になった瞬間、全員が年収700万円になる

という単純な仕組みではありません。

東京都の消防吏員には公安職給料表が適用されています。2026年4月1日現在も、警察官・消防吏員は公安職給料表の対象です。

その給料表では、

職務の級

と、

号給

の組み合わせで基本となる給料月額が決まります。

イメージとしては、

階級・役職が上がる
        ↓
職務の級が上がる
        ↓
給料月額の水準も上がる
        ↓
地域手当・賞与・各種手当を加える
        ↓
年間収入が決まる

という構造です。

まず知っておきたい|「消防士」は職業名でもあり階級名でもある

一般的には、

消防署で働く人をまとめて、

「消防士」

と呼びます。

しかし制度上の「消防士」は、消防吏員の階級の一つです。

2026年現在の東京消防庁の規則では、消防吏員の階級は次の9階級です。

消防総監
消防司監
消防正監
消防監
消防司令長
消防司令
消防司令補
消防士長
消防士

上へ行くほど上位の階級になります。

若手は消防士からスタートする

採用されたばかりの消防官は、基本的に下位階級から消防人生をスタートします。

その後、

勤務。

昇任試験。

昇任選考。

経験。

などを重ねながら上位階級を目指します。

2026年の東京消防庁の初任給はいくら?

まず一番分かりやすい、新規採用時の給与から見てみましょう。

2026年1月1日現在、東京消防庁の公式採用情報では、

消防官Ⅰ類:約321,900円

となっています。

消防官Ⅲ類は、

約279,400円

です。

この金額には地域手当が含まれています。

東京都人事委員会が公開している2026年4月1日現在の公安職給料表の初任給では、給料月額そのものは、

採用区分給料月額
Ⅰ類268,300円
Ⅱ類249,700円
Ⅲ類232,900円

となっています。

ここへ東京都の地域手当などが加わり、東京消防庁が採用案内で示している月額になります。

東京消防庁の階級と「職務の級」はどう関係する?

ここは少し難しいですが、階級別年収を理解するうえで重要です。

東京消防庁の任用規程では、公安職給料表の1級〜8級に対応する職務が定められています。

簡単に整理すると、

職務の級主な職務のイメージ
1級消防士
2級高度な知識・経験を必要とする職務
3級主任相当
4級係長相当
5級課長補佐相当
6級課長相当
7級指定課長相当
8級部長相当

となっています。

また、

消防士長昇任試験

消防司令補昇任試験

消防司令昇任試験

などが、職務級の昇任と関係します。

ただし、

「消防司令補=必ず全員3級○号給」

という単純な1対1対応ではありません。

職務、役職、号給なども関係するので、階級名だけから正確な年収を逆算することはできません。

階級別の年収を「○○万円」と断定できない理由

旧記事では、

「消防士なら○○万円」

「消防司令補なら○○万円」

という表現を使っていました。

今回はこれをやめます。

同じ消防士長でも、

年齢。

勤続年数。

号給。

家族構成。

時間外勤務。

災害出場。

特殊勤務。

などが違うからです。

例えば同じ階級でも、

20代後半。

40代。

では給与が同じとは限りません。

だから、

階級=年収

ではなく、

階級が上がるにつれて、より上位の職務級・役職へ進み、給与水準も上がっていく

と理解する方が正確です。

救助隊員になると基本給が高くなる?

ここも旧記事から大きく修正します。

結論として、

「救助隊員だから専用の高い基本給になる」という仕組みではありません。

救助隊員も東京消防庁の消防吏員です。

基本となる給与は、同じ公安職給料表をもとに決まります。

例えば、

消防士の救助隊員。

消防士長の救助隊員。

消防司令補の救助隊員。

がいれば、

それぞれの階級・職務・号給などに応じて給与が決まります。

つまり、

「救助隊」という所属と「階級」は別のもの

です。

ただし救助活動には特殊勤務手当がある

ここが救助隊らしい部分です。

東京消防庁には、

救出救助手当

があります。

2026年現在の規則では、火災・自然災害・交通事故・爆発・水難などで救出救助業務に従事した職員について、

日額260円

が定められています。

さらに、即応対処部隊や消防救助機動部隊に所属する職員には160円が加算されます。

また、

潜水業務なら1回840円。

国際緊急援助活動なら日額4,000円。

一定の危険区域内での救助活動なら日額2,160円。

など、活動内容によって金額が変わります。

出場そのものにも手当がある

救助だけではありません。

消防活動に従事した職員には、出動手当もあります。

現在は1回1時間未満で520円、1時間以上の場合は時間に応じて加算される仕組みです。

つまり救助隊員は、

救助隊だから固定給が何万円も高い

のではなく、

実際に危険・特殊な業務へ従事すると、それに応じた特殊勤務手当が加わる

という仕組みです。

救助隊に入れば年収が大幅に上がる?

私は、

給料目的だけで救助隊を目指すものではない

と思います。

救助隊は、

ロープ。

救助資器材。

重量物。

交通救助。

高所。

水難。

特殊災害。

など、非常に高い知識・技術・体力が求められます。

訓練もあります。

特殊勤務手当が加わることはありますが、

「救助隊になれば年収が一気に100万円増える」

というようなイメージは持たない方がいいでしょう。

私自身も東京消防庁にいた頃、救助隊を目指して訓練していました。

救助隊を目指す理由として大きかったのは、

給料よりも、救助技術への憧れ

でした。

消防士長になると給料は上がる?

基本的には、職責が上がれば給与水準も上がっていきます。

東京消防庁の任用規程では、消防士長昇任試験への合格が2級職への任用基準とされています。

若手消防士として経験を積み、

昇任試験へ合格。

職責が増える。

さらに号給も上がっていく。

ことで給与も上昇していきます。

ただし、

消防士長になった瞬間に年収○万円

とは言えません。

消防司令補になると給料はどれくらい上がる?

消防司令補は、現場でも非常に重要な階級です。

東京消防庁の任用規程では、消防司令補昇任試験合格者は主任級職昇任選考に合格したものとみなすとされています。

若手職員を指導したり、

隊の中核を担ったり、

責任ある役割も増えてきます。

そのため、

消防士・消防士長時代より給与水準が上がる方向になります。

ただし、

同じ司令補でも年齢・号給・勤務状況によって年収差があります。

消防司令になると管理する側へ近づく

消防司令昇任試験合格者は、任用上、係長級職昇任選考に合格したものとみなされます。

このあたりになると、

自分自身が災害活動をするだけではなく、

部下。

部隊。

業務。

を管理する責任も大きくなります。

当然、それに応じて給与水準も上がります。

消防司令長以上は誰でもなれるわけではない

階級が上がれば上がるほど、人数は少なくなります。

現在の東京消防庁の規則では、

消防総監:1人。

消防司監・消防正監・消防監:109人。

消防司令長:327人。

と上位階級には定数があります。

つまり、

長く働けば全員が消防司令長・消防監まで昇任できる

という仕組みではありません。

昇任試験・選考だけでなく、組織上のポストも関係します。

消防士がどの階級で定年を迎えるのかについては、こちらで詳しく解説しています。

消防士は何歳・何階級で定年退職する?定年65歳化も解説【2026年】

消防士の年収を左右する7つの要素

ここまでを整理すると、消防士の年収は主に次の要素で変わります。

① 職務の級

上位の職務ほど給料表の水準も変わります。

② 号給

同じ級でも号給によって給料月額が違います。

③ 勤続年数

昇給などに関係します。

④ 地域手当

東京消防庁の採用時給与にも地域手当が含まれています。

⑤ 時間外勤務

超過勤務の有無によって年間収入が変わります。

⑥ 各種生活手当

扶養。

住居。

通勤。

など、条件によって支給される手当があります。

⑦ 特殊勤務手当

出動。

救急。

救助。

潜水。

高所活動。

など、特殊な業務に従事すると手当が支給される場合があります。

だから同じ階級でも年収が違うわけです。

「平均年収」を見るときは何に注意する?

インターネットには、

「消防士の平均年収700万円」

「救助隊員は年収800万円」

など、さまざまな数字があります。

でも必ず、

何の平均なのか

を確認してください。

全国の消防職員なのか。

東京消防庁なのか。

年齢はいくつなのか。

階級は何なのか。

残業代を含むのか。

ボーナスを含むのか。

特殊勤務手当を含むのか。

これだけで数字は大きく変わります。

東京消防庁の「階級別平均年収」は公開されていない

ここはこの記事の重要なポイントです。

東京都は公安職給料表を公開しています。

東京消防庁も採用時の初任給を公開しています。

しかし、

消防士長平均○○万円

消防司令補平均○○万円

という最新の階級別平均年収表は確認できません。

だから私は今回、

根拠のない推定値を「平均年収」として断定するのはやめます。

元東京消防庁消防士だった私の給料感覚

ここからは公式データではなく、私自身の経験です。

私が東京消防庁で勤務していた頃も、

若手消防士と、

ベテラン消防士長。

消防司令補。

消防司令。

では当然、給与水準は違いました。

一方、

若手でも、

夜間の勤務。

災害出場。

時間外勤務。

などによって月の支給額が変わることがあります。

ですから、

階級が給料へ与える影響は大きいが、階級だけで手取りや年収は決まらない

というのが、実際に働いていた私の感覚にも近いです。

救助隊を目指すなら「年収」より仕事内容を見てほしい

もしこの記事を、

「救助隊は給料がいいなら目指したい」

と思って読んでいるなら、一つ伝えたいことがあります。

救助隊は、

給与以上に仕事内容を見るべき職種

だと思います。

救助隊員には、

体力。

知識。

ロープ技術。

判断力。

チームワーク。

精神力。

などが求められます。

人命救助という非常にやりがいのある仕事ですが、その分責任も大きいです。

救助隊に入る方法やオレンジ服についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

関連記事:消防士のオレンジ服は誰が着る?救助隊になる方法を元消防士が解説

東京消防庁の給料についてよくある質問

東京消防庁の消防官Ⅰ類の初任給はいくら?

2026年1月1日現在、地域手当込みで約321,900円です。

高卒程度の消防官Ⅲ類はいくら?

2026年1月1日現在、約279,400円です。

救助隊員は普通の消防士より給料が高い?

救助隊専用の高い基本給になるわけではありません。

ただし、実際に救出救助業務などへ従事した場合は、救出救助手当など特殊勤務手当が支給される場合があります。

救助隊になると階級も上がる?

別の話です。

救助隊=所属・担当業務

消防士長・消防司令補など=階級

です。

救助隊員にもさまざまな階級の職員がいます。

消防司令補の平均年収はいくら?

東京消防庁が最新の「消防司令補だけの平均年収」を公開している資料は確認できません。

職務級・号給・手当・勤務状況によって違うため、特定の金額を平均年収として断定するのは避けた方が正確です。

消防士は年功序列?

勤続年数に伴う昇給要素はありますが、上位の階級・役職へ進むには昇任試験・選考なども関係します。

単純に長く働くだけで全員が同じ階級まで昇任するわけではありません。

まとめ|消防士の年収は「階級+号給+手当」で見る

東京消防庁の給与についてまとめると、

① 消防吏員には公安職給料表が適用される

② 階級・役職が上がれば給与水準も上がっていく

③ ただし階級だけで年収は決まらない

④ 救助隊に入っただけで基本給が急増するわけではない

⑤ 救助活動には特殊勤務手当が支給される場合がある

という仕組みです。

2026年現在、

東京消防庁消防官Ⅰ類の初任給は約321,900円。

Ⅲ類は約279,400円となっています。

その後、

経験を積む。

昇給する。

昇任試験へ合格する。

消防士長。

消防司令補。

消防司令。

と責任ある階級へ進むことで、給与水準も上がっていきます。

そして救助隊の場合は、

実際の救助活動に応じて救出救助手当などが加わる場合があります。

旧記事では、

「消防士○万円、消防司令補○万円」

という単純な階級別年収を紹介していました。

しかし現在なら、

公開されていない平均年収を推測で断定するより、実際の給与制度を正確に理解する方が役に立つ

と思います。

消防士を目指すなら、

給料。

階級。

救助隊。

仕事内容。

すべてを知ったうえで、

自分がどんな消防士になりたいのか

を考えてみてください。