部活経験は消防士採用試験に有利?元東京消防庁消防士が実体験と現在の評価制度を解説
「消防士を目指すなら運動部に入っておいた方がいい?」
「体育会系じゃないと東京消防庁には受からない?」
「帰宅部だと面接で不利?」
消防士を目指している高校生・大学生なら、こんな疑問を持つことがあると思います。
消防士というと、
筋トレ。
ランニング。
スポーツ。
体育会系。
というイメージがありますよね。
私自身も東京消防庁を目指していた大学時代、
「消防や警察を受けるなら体育会に入っていた方が有利なんじゃない?」
と言われたことがあります。
ですが、私は大学では体育会系の部活には所属せず、ボランティアサークルに所属していました。
それでも、
東京消防庁と大阪府警の両方に合格
することができました。
では結局、
部活経験は消防士採用試験で有利なのか?
2026年現在の東京消防庁の採用制度まで確認すると、昔この記事を書いた頃とは少し答えが変わっています。
結論|「部活をしているだけ」では有利とは言えない
まず結論です。
運動部に所属しているだけで、消防士採用試験に合格しやすくなるとは言えません。
野球部。
サッカー部。
ラグビー部。
陸上部。
帰宅部。
どれであっても、採用試験そのものを突破する必要があります。
ただし現在の東京消防庁には、
資格・経歴評定
という制度があります。
ここでは所持資格だけでなく、一定レベル以上のスポーツ・音楽の経歴も評価対象になっています。
つまり、
「部活経験そのもの」は特別扱いされないが、「全国大会級のスポーツ実績」なら実際に評価される
というのが正確な答えです。
東京消防庁ではスポーツ実績が評価される
ここは旧記事からの最大の変更点です。
東京消防庁の現在の「資格・経歴評定」では、スポーツ経歴のうち、
高校以降の全国大会出場以上
が評定対象となっています。
また、プロ選手経験も対象です。
一方で、
- 中学校以前の実績
- 地方大会までの実績
- その他の表彰歴
などは資格・経歴評定の対象ではありません。
簡単に整理すると
| スポーツ経験 | 資格・経歴評定 |
|---|---|
| 高校で部活に所属 | 原則それだけでは対象外 |
| 大学体育会に所属 | 原則それだけでは対象外 |
| 県大会出場 | 対象外 |
| 高校以降に全国大会出場 | 対象 |
| プロ選手経験 | 対象 |
| 中学時代の全国大会 | 対象外 |
です。
ですから、
「体育会に入っていないから東京消防庁は無理」
ということはありません。
全国大会へ行っていなくても部活経験は無駄ではない
ここも重要です。
資格・経歴評定の対象にならないからといって、
普通の部活動経験に価値がないわけではありません。
むしろ消防試験では、間接的にかなり役立ちます。
私は大きく3つあると思っています。
メリット① 体力試験の準備がしやすい
まず分かりやすいのが、
体力です。
現在の東京消防庁消防官採用試験では、第2次試験で、
- 1km走
- 反復横とび
- 上体起こし
- 立ち幅とび
- 長座体前屈
- 握力
- 腕立て伏せ
などの体力検査が行われています。
普段からスポーツをしている人なら、
走る。
身体を動かす。
筋力を維持する。
という習慣があります。
そのため、ゼロから体力試験対策を始める人より準備しやすい可能性はあります。
ただし「スポーツが得意=体力試験対策不要」ではない
ここは勘違いしないでください。
例えば、
野球が得意。
ベンチプレスが強い。
サッカーを10年間していた。
からといって、
体力検査の全種目で必ず高い結果を出せるわけではありません。
握力。
柔軟性。
反復横とび。
腕立て伏せ。
ランニング。
それぞれ使う能力が違います。
だから部活をしている人でも、
実際の試験種目を確認して対策する
ことが必要です。
消防士の体力試験はどれくらい?種目・目安・対策を元東京消防庁消防士が解説
メリット② 面接で話せる経験が増える
私はむしろ、
部活の最大のメリットはこちら
だと思います。
消防官採用試験では個人面接があります。東京消防庁Ⅰ類・Ⅲ類とも、第2次試験で個人面接が実施されています。
例えば部活動なら、
「チーム内で意見が対立したとき、どうした?」
「苦しい練習をどう乗り越えた?」
「自分の役割は何だった?」
「失敗した経験は?」
「キャプテンを支えるために何をした?」
など、
具体的なエピソード
を作りやすいです。
消防はチームで活動する仕事なので、
部活動で経験した、
協調性。
継続力。
役割分担。
コミュニケーション。
失敗からの改善。
などは面接材料にできます。
「部長・キャプテンじゃないと意味がない」は違う
これもよくある勘違いです。
面接では、
「私はキャプテンでした!」
だけで評価されるわけではありません。
むしろ大事なのは、
その経験から何を学んだか
です。
例えばレギュラーになれなかった人でも、
「試合には出られませんでしたが、練習環境を整えたり、後輩への声掛けを続けました」
という話ができます。
これも立派な経験です。
逆に、
「全国大会へ行きました」
だけで、
自分が何を考えて行動したのか説明できなければ、面接材料としては弱くなります。
メリット③ 消防学校へ入った後に活きる
部活経験は、
採用試験に合格した後
にも役立つ可能性があります。
消防学校では、
体力錬成。
集団生活。
礼式。
消防活動訓練。
などがあります。
部活動で、
挨拶。
時間管理。
チーム行動。
上下関係。
継続的な練習。
を経験していると、
消防学校の環境に馴染みやすい部分はあると思います。
ただし、
体育会系だから消防学校で絶対うまくいく
という意味ではありません。
私は大学で体育会に入っていなかった
ここは私自身の実体験です。
私は、
「消防士になるなら体育会に入った方がいい」
という意見もありましたが、大学時代は体育会系には所属しませんでした。
ボランティアサークル
で活動していました。
それでも、
東京消防庁。
大阪府警。
の両方に合格しました。
だから私自身の経験からも、
「部活をしていないから消防士になれない」ということはありません。
と断言できます。
部活をやっていない人は何をアピールすればいい?
これもよくある悩みです。
「自分、帰宅部なんです……」
「大学ではサークルにも入っていません」
それだけで焦る必要はありません。
採用試験で話せる経験は、
部活だけではありません。
例えば、
- アルバイト
- ボランティア
- 学業
- 資格取得
- ゼミ
- 学生消防団
- 趣味
- 筋トレ
- 家族との経験
- 仕事
- 地域活動
など。
何でも材料になります。
東京消防庁では学生消防団の活動証明も提出できる
2026年現在の東京消防庁では、エントリーシートの補足資料として、
学生消防団活動認証証明書
を提出することもできます。
これは資格・経歴評定そのものとは別ですが、応募者の経験を補足する書類として提出可能です。
もし大学生活で消防に関係する活動を経験したいなら、
学生消防団などを調べてみるのも一つの方法です。
ただし、
「採用に有利になるためだけ」にやる必要はありません。
自分が実際に興味を持ち、そこで何を経験したかの方が重要です。
部活より重要なのは採用試験そのもの
ここは旧記事から残したい考え方です。
スポーツ経験があっても、
試験を突破できなければ消防士にはなれません。
例えば東京消防庁Ⅰ類の教養試験方式なら、第1次試験には、
教養試験。
論文試験。
適性検査。
資格・経歴評定。
があります。
そして第2次試験で、
身体・体力検査。
個人面接。
が実施されます。
ですから、
「全国大会に出たから筆記は適当でいい」
なんてことにはなりません。
東京消防庁も、各科目の成績が一定点に達しない場合は不合格になると案内しています。
消防士は新卒と既卒どっちが受かりやすい?東京消防庁の採用を解説【2026】
私なら消防試験対策をこの順番で考える
消防士を目指している高校生・大学生なら、
私はこう考えます。
① まず受験資格を確認
受けられなければ始まりません。
② 筆記・SPI対策
第1次試験を突破するための土台。
③ 論文・作文対策
短期間では意外と伸ばしづらいので早めに。
④ 体力試験対策
現在の試験種目を確認して練習。
⑤ 面接対策
自分の経験を消防志望につなげる。
⑥ 資格・経歴があれば正しく申請
全国大会など評定対象の実績があるなら、証明書類を準備する。
この順番です。
「消防士になりたいから部活に入る」はおすすめ?
高校1年生などで、
「消防士になりたいから運動部へ入った方がいいですか?」
と聞かれたら、
私は、
やりたいスポーツがあるなら入ればいい。でも採用試験のためだけに無理して入る必要はない。
と答えます。
部活には多くのメリットがあります。
でも、
消防士になる方法は部活動だけではありません。
部活を途中で辞めたら面接で不利?
これもケース次第です。
「部活を辞めた」
という事実だけで判断されるわけではありません。
むしろ、
なぜ辞めたのか。
その後何をしたのか。
何を学んだのか。
を説明できるかが大切です。
例えば、
「人間関係が嫌だから辞めました」
で終わるより、
「継続することも考えましたが、〇〇へ時間を使うことを決断しました。その後は〇〇に取り組みました」
の方が、本人の意思決定が伝わります。
スポーツ全国大会経験者は必ず申請を確認しよう
ここは該当者にはかなり重要です。
現在の東京消防庁では、
高校以降の全国大会出場以上
は資格・経歴評定の対象です。
そして、申請するには、
受験申込時の入力。
証明書類。
原本確認。
など所定の手続が必要です。
公式案内では、全国大会名と本人の出場・選手登録が確認できる資料などが必要とされています。
せっかく全国大会へ出ているのに、
申請方法を知らず評価対象にできない
のはもったいないです。
該当する人は、必ず受験年度の最新案内を確認してください。
消防士試験と部活についてよくある質問
運動部に入っていないと消防士になれませんか?
なれます。
私自身、大学では体育会系の部活に所属していませんでしたが、東京消防庁と大阪府警に合格しました。
部活動経験は東京消防庁で加点されますか?
単に部活動へ所属しただけでは、資格・経歴評定のスポーツ経歴には該当しません。
現在は、高校以降の全国大会出場以上やプロ選手経験などが評定対象です。
県大会出場でも評価されますか?
東京消防庁の資格・経歴評定では、地方大会の成績はスポーツ経歴の評定対象外とされています。
ただし、面接でその経験を話すことはできます。
帰宅部だと面接で不利ですか?
部活経験だけで合否が決まるわけではありません。
学業、アルバイト、ボランティア、資格、仕事など、自分が取り組んできた経験からアピール材料を作れます。
消防士は体育会系が多いですか?
スポーツ経験者はいますが、全員が体育会系出身というわけではありません。
採用後はさまざまな経歴の人が一緒に消防学校で教育を受けます。
まとめ|「部活をしているか」より「その経験をどう活かすか」
この記事を最初に書いた2020年には、
「部活をしていても消防試験にはあまり関係ない」
と書いていました。
現在は少し事情が変わっています。
東京消防庁では、
高校以降の全国大会出場以上などのスポーツ経歴が資格・経歴評定の対象
になっています。
ただし、
普通に部活へ所属している。
県大会へ出た。
毎日一生懸命練習した。
というだけで、自動的に消防試験が有利になるわけではありません。
それでも部活を通して得た、
体力。
継続力。
協調性。
失敗経験。
チームワーク。
は、体力試験や面接、さらに消防学校へ入った後にも活かせます。
一方で、
部活をしていない人にも、
アルバイト。
ボランティア。
学業。
資格。
仕事。
など別の経験があります。
私自身も大学では体育会に所属していませんでした。
それでも東京消防庁に合格しました。
だから、
「部活をしていないから消防士になれない」
と心配する必要はありません。
大切なのは、
自分がこれまで何をしてきて、そこから何を学び、それを消防士としてどう活かすのか。
ここです。
消防士になるには?採用試験から消防学校まで元消防士が解説【2026年】
