東京消防庁の管轄は「東京23区だけ」ではありません

「東京消防庁って、東京23区を守っている消防本部でしょ?」

そう思っている人は、意外と多いのではないでしょうか。

実は、私も東京消防庁に採用される前は、ほぼ同じようなイメージを持っていました。

しかし、東京消防庁の管轄は23区だけではありません。

結論からいうと、東京消防庁は、

東京23区+多摩地域の25市3町1村

を管轄しています。

反対に、東京都内でも

稲城市と島しょ地域は東京消防庁の管轄外

です。

東京消防庁公式情報によると、令和7年4月1日時点で管轄人口は14,103,048人、管轄面積は1,769km²

東京都のほぼ全域をカバーする、非常に大きな消防組織です。

東京消防庁を受験するのであれば、

「東京消防庁=23区」ではない

ということは最低限知っておきましょう。

私自身、実際に東京消防庁へ入り、第八消防方面の小平消防署に配属されて初めて「東京消防庁ってこんなに広いんだ」と実感しました。

この記事では、元東京消防庁消防士の経験も交えながら、

「東京消防庁はどこまで管轄しているのか?」

「10方面はどのように分かれているのか?」

「採用試験や面接では何を覚えておけばいいのか?」

を分かりやすく解説します。


東京消防庁の管轄区域を最初に理解しよう

東京消防庁は、東京都内の

23特別区+多摩地区25市3町1村

を管轄しています。

つまり、「東京都=すべて東京消防庁」でもなければ、「東京消防庁=23区」でもありません。

2026年8月時点で確認できる東京消防庁公式情報では、島しょ地域と稲城市を除く東京都のほぼ全域を管轄しています。

ここは採用試験を受ける人なら覚えておいて損はありません。

覚えておきたいポイント

項目内容
管轄東京23区+多摩地区
多摩地区25市3町1村
管轄外稲城市・島しょ地域
消防方面10方面
消防署81署※
管轄面積1,769km²
管轄人口約1,410万人

※消防署81署は東京消防庁公式組織ページ掲載値(令和6年4月1日現在)。

これだけでも、東京消防庁が一般的な市町村消防本部とはかなり規模が違うことが分かります。


なぜ東京消防庁の管轄を受験生が知っておくべきなのか?

「そんなことまで採用試験で覚える必要ある?」

と思うかもしれません。

もちろん、10方面81署をすべて丸暗記しなければ合格できないわけではありません。

しかし、東京消防庁を志望しているのに、

「東京消防庁は23区しか管轄していないと思っていました」

では、組織研究として少し弱いですよね。

特に面接では、

「なぜ東京消防庁なのか?」

「東京消防庁について何を調べましたか?」

「どのような地域で働きたいですか?」

といった質問につながる可能性があります。

東京消防庁は、超高層ビルが立ち並ぶ都心部から、住宅密集地域、河川・湾岸地域、さらに奥多摩の山間地域まで抱えています。

この災害特性の多様さこそ、東京消防庁の大きな特徴の一つです。

単に「日本最大級の消防だから入りたい」だけではなく、

「都市部から山岳地域まで、多様な災害に対応する東京消防庁で働きたい」

と説明できれば、志望動機にも深みが出てきます。


面接なら、このくらい答えられれば十分

例えば、

「東京消防庁の管轄について知っていますか?」

と聞かれた場合は、

「東京23区だけではなく、多摩地域の25市3町1村も管轄しており、稲城市と島しょ地域は管轄外であると理解しています。また、管轄区域が10方面に分けられており、都市部から山間部まで地域特性が大きく異なることも東京消防庁の特徴だと考えています。」

この程度まで答えられれば、十分に組織研究をしている印象になります。

全部の消防署名を暗唱する必要はありません。


東京消防庁は全部で10方面

東京消防庁では、広大な管轄区域を10の消防方面に分けています。

消防方面本部は、方面内の消防署同士の調整や指導だけでなく、一定規模以上の火災・救急・救助災害では部隊の指揮・支援にもあたります。

現在の10方面と消防署は次のとおりです。

方面主な消防署地域のイメージ
第一方面丸の内・麹町・神田・京橋・日本橋・臨港・芝・麻布・赤坂・高輪都心・官公庁・オフィス・湾岸
第二方面品川・大井・荏原・大森・田園調布・蒲田・矢口品川・大田・羽田周辺
第三方面目黒・世田谷・玉川・成城・渋谷渋谷・世田谷など都市・住宅地域
第四方面四谷・牛込・新宿・中野・野方・杉並・荻窪新宿など繁華街+住宅地
第五方面小石川・本郷・豊島・池袋・王子・赤羽・滝野川文京・豊島・北区
第六方面上野・浅草・日本堤・荒川・尾久・千住・足立・西新井台東・荒川・足立
第七方面本所・向島・深川・城東・本田・金町・江戸川・葛西・小岩墨田・江東・葛飾・江戸川
第八方面立川・武蔵野・三鷹・府中・昭島・調布・小金井・小平ほか多摩東部・中央部
第九方面八王子・青梅・町田・日野・福生・多摩・秋川・奥多摩多摩西部・山岳地域
第十方面板橋・志村・練馬・光が丘・石神井板橋・練馬

この区分は現在の東京消防庁公式「消防方面本部」の掲載内容と一致しています。

ここからは、それぞれの特徴を簡単に見ていきましょう。


第一消防方面|東京の中心部

第一方面には、

丸の内・麹町・神田・京橋・日本橋・臨港・芝・麻布・赤坂・高輪消防署

があります。

千代田区・中央区・港区を中心とする、まさに東京の中心部です。

官公庁、大規模オフィスビル、高層建築物、商業施設などが集中しているのが大きな特徴。

東京消防庁本部庁舎も千代田区大手町にあります。

また、臨港消防署のように水辺を抱える地域もあります。

「東京消防庁」と聞いて、多くの人が最初にイメージする東京らしい地域が第一方面といえるでしょう。


第二消防方面|品川・大田・羽田エリア

第二方面は、

品川・大井・荏原・大森・田園調布・蒲田・矢口消防署

です。

品川・大田地域を中心としており、住宅地、オフィス街、湾岸部などさまざまな地域があります。

羽田空港周辺を含む地域でもあり、東京の玄関口を守る消防方面の一つです。


第三消防方面|渋谷・世田谷エリア

第三方面は、

目黒・世田谷・玉川・成城・渋谷消防署

です。

渋谷のような大規模繁華街から世田谷・成城などの住宅地域まで含んでいます。

東京消防庁の消防学校も渋谷区西原にあります。

私自身、消防学校時代にはこの地域で消防人生のスタートを切りました。

また、第三方面には消防救助機動部隊、いわゆるハイパーレスキューも配置されています。


第四消防方面|新宿・中野・杉並エリア

第四方面は、

四谷・牛込・新宿・中野・野方・杉並・荻窪消防署

です。

新宿駅周辺の大規模繁華街・オフィス街がある一方、中野や杉並には住宅地域も広がっています。

地域によって災害特性がかなり変わってくる方面です。


第五消防方面|池袋・文京・北区エリア

第五方面は、

小石川・本郷・豊島・池袋・王子・赤羽・滝野川消防署

です。

池袋のような巨大ターミナル・繁華街がある一方、文京区など比較的落ち着いた住宅地域もあります。

東京ドーム周辺など、大規模施設・イベント施設を抱えている地域でもあります。


第六消防方面|上野・浅草・足立エリア

第六方面は、

上野・浅草・日本堤・荒川・尾久・千住・足立・西新井消防署

です。

浅草など歴史ある地域を含み、昔ながらの街並みと都市部が混在しています。

木造住宅密集地域も存在するため、震災時の延焼火災などについて考えるうえでも重要な地域です。

第六方面にもハイパーレスキューが配置されています。


第七消防方面|墨田・江東・葛飾・江戸川エリア

第七方面は、

本所・向島・深川・城東・本田・金町・江戸川・葛西・小岩消防署

です。

荒川、江戸川などの大きな河川や東京湾に近い地域を含みます。

そのため、火災・救急だけでなく、水害なども含めた地域特性を理解しておきたい方面です。


第八消防方面|実は東京消防庁はここまで広い

第八方面は、

立川・武蔵野・三鷹・府中・昭島・調布・小金井・小平・東村山・国分寺・狛江・北多摩西部・清瀬・東久留米・西東京消防署

です。

ここから完全に23区外です。

そして、私が東京消防庁時代に配属されたのも、この第八方面でした。

私は小平消防署に所属していました。

実は、私自身も採用されるまで、

「東京消防庁=23区」

くらいのイメージでした。

そのため、拝命先が小平と聞いたときに、

「東京消防庁って多摩も管轄しているんだ」

と初めて実感しました。

しかし実際に勤務してみると、23区内とはまた違った消防活動や地域との関わりがあります。

第八方面には立川の消防救助機動部隊も配置されています。

東京消防庁を受験する人には、

「採用されたら23区勤務になるとは限らない」

ということも知っておいてほしいです。


第九消防方面|山岳地域まで東京消防庁

第九方面は、

八王子・青梅・町田・日野・福生・多摩・秋川・奥多摩消防署

です。

東京消防庁のイメージが大きく変わるのが、この第九方面ではないでしょうか。

奥多摩をはじめ、山間地域も管轄しています。

都市型災害だけではなく、山岳救助などにも対応する必要があります。

「東京消防庁なのに山岳救助?」

と思うかもしれませんが、これも東京消防庁の大きな特徴です。

第九方面にもハイパーレスキューが配置されています。


第十消防方面|板橋・練馬エリア

第十方面は、

板橋・志村・練馬・光が丘・石神井消防署

です。

板橋区・練馬区を中心とする方面で、住宅地域が広く存在しています。

23区内ではありますが、都心部とはまた異なる地域特性を持っています。


ハイパーレスキューは5つの方面に配置されている

古い情報のまま覚えないように、ここも更新しておきましょう。

東京消防庁公式サイトによると、消防救助機動部隊、いわゆるハイパーレスキューは現在、

第二・第三・第六・第八・第九消防方面

に配置されています。

大規模災害や特殊災害への対応を目指して東京消防庁を志望している人なら、こちらも覚えておくとよいでしょう。


東京なのに東京消防庁ではない地域がある

ここは今回のリライトで最も重要な修正ポイントです。

東京都内だからといって、すべての地域が東京消防庁の管轄ではありません。

現在、東京消防庁の管轄外なのは、

稲城市と島しょ地域

です。

以前のこの記事では「稲城市と三宅島」と紹介していましたが、正確には三宅島だけではなく島しょ地域全体です。

情報が古くなっていたため、ここは訂正します。


稲城市には独自の消防本部がある

稲城市には稲城市消防本部があります。

稲城市公式サイトでは、島しょ地域を除けば、東京都内で唯一の「単独消防」と紹介されています。

これは採用試験の雑学としても面白いポイントです。

東京消防庁を受験するのであれば、

「東京都内で東京消防庁管轄外なのは、稲城市と島しょ地域」

ここまで覚えておけば十分でしょう。


東京消防庁に入っても23区勤務とは限らない

東京消防庁を目指している人に、私から特に伝えておきたいことがあります。

それは、

「東京消防庁に採用=新宿・渋谷・池袋など23区勤務」ではない

ということです。

私自身がそうでした。

消防学校を卒業後、配属されたのは23区ではなく多摩地域の小平消防署でした。

東京消防庁には、都心の超高層ビル街もあれば、昔ながらの住宅密集地域もあります。

さらに、多摩地域、河川地域、山岳地域まであります。

だからこそ、

「どこに配属されても東京消防庁の消防士」

という意識を持って受験してほしいと思います。

むしろ、これほど多種多様な地域で消防行政を経験できることは、東京消防庁で働く魅力の一つだと私は感じています。


東京消防庁の面接前に最低限覚える5項目

採用試験対策としては、すべての消防署を暗記する必要はありません。

最低限、次の内容を押さえてください。

  1. 東京消防庁の管轄は23区だけではない
  2. 23区+多摩地区25市3町1村を管轄している
  3. 稲城市と島しょ地域は管轄外
  4. 管轄区域は10方面に分けられている
  5. 消防署は81署ある

これだけでも、東京消防庁について何も調べていない受験生とは差がつきます。

さらに余裕があれば、自分が興味を持っている方面や災害特性まで調べてみてください。

それが、そのまま面接での志望動機や回答材料になります。


東京消防庁を受験するなら「組織研究」は面接対策になる

東京消防庁の採用試験では、筆記試験や体力試験だけに意識が向きがちです。

しかし最終的には、面接で

「なぜ東京消防庁なのか」

を自分の言葉で説明する必要があります。

東京消防庁の管轄区域、組織、消防方面、特殊部隊などを理解しておけば、

「東京消防庁だからこそ働きたい理由」

を作りやすくなります。

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まとめ|東京消防庁は23区だけじゃない

東京消防庁という名前から「23区の消防」というイメージを持っている人も多いと思います。

しかし実際には、

東京23区+多摩地域25市3町1村

という非常に広大な地域を守っています。

都心部の超高層建築物。

新宿・渋谷・池袋などの繁華街。

住宅密集地域。

河川や湾岸地域。

そして奥多摩の山岳地域。

これらすべてに対応するのが東京消防庁です。

私自身も東京消防庁に入るまで、ここまで広いとは知りませんでした。

だからこそ、これから東京消防庁を受験する人には、

「東京消防庁は23区だけではない」

ということを、ぜひ覚えておいてほしいと思います。

採用試験のためだけではありません。

自分が将来どんな地域で消防士として働く可能性があるのかを知ることにもつながります。

東京消防庁を本気で目指すのであれば、試験勉強だけでなく、ぜひ組織についても少しずつ調べてみてください。