「救助隊の服って、どうしてオレンジなの?」

「東京消防庁のレスキュー隊が付けている犬のワッペンは何?」

「消防車はなぜ赤い?」

消防士として働いていると当たり前になっていることでも、一般の人からすると、

「そういえば、なんで?」

と思うことが消防にはたくさんあります。

私は東京消防庁で消防士として勤務していましたが、消防学校へ入るまで知らなかったこともたくさんありました。

そこで今回は、消防好きの方や消防士を目指している方にも楽しんでもらえるように、

意外と知らない消防の豆知識5選

を紹介します。

今回取り上げるのはこちらです。

① なぜ東京消防庁の救助隊はセントバーナードなのか?

② 消防章には何が描かれているのか?

③ なぜ救助隊はオレンジ色なのか?

④ なぜ火事・救急は119番なのか?

⑤ 消防車は本当に「赤色」なのか?

元消防士の目線も交えながら解説します。

豆知識①|なぜ東京消防庁の救助隊はセントバーナードなの?

東京消防庁の救助隊をよく見ると、腕章などに、

セントバーナード犬

が描かれています。

「なぜ犬?」

と思いますよね。

実はこの犬には、人命救助と深い関係があります。

モデルになったのは「バリー号」

東京消防庁によると、セントバーナード犬のバリー号は、アルプス山中で15年間に40人余りを救助したと伝えられている犬です。

困難な状況でも人命救助に向かうバリー号の姿と、災害現場へ立ち向かう救助隊員の姿が重なることから、セントバーナード犬が東京消防庁の各救助隊のシンボルとして採用されています。

つまり、

セントバーナード=人命救助の象徴

ということです。

セントバーナードが正式にシンボルになったのは1973年

東京消防庁では1973年、救助隊について、

愛称:東京レスキュー

通称:オレンジ部隊

腕章・ボディーマーク:セントバーナード犬

などが正式に決定されました。

テレビやニュースで東京消防庁の救助隊を見る機会があれば、ぜひ腕章にも注目してみてください。

救助隊やオレンジ服について詳しく知りたい方はこちらで解説しています。

関連記事:消防士のオレンジ服は誰が着る?救助隊になる方法を元消防士が解説

豆知識②|消防章は何を表している?

消防士の帽子。

制服。

消防車。

消防署。

などを見ると、特徴的な消防のマークがあります。

これを、

消防章

と呼びます。

現在の記事では「クモの巣のような部分がホース」と説明していましたが、ここは修正します。

東京消防庁の公式説明では、消防章の基本となっている形は、

雪の結晶

です。

消防章には4つの意味が込められている

消防章には、大きく次の要素があります。

雪の結晶

日章

水管・管そう

水柱

です。

東京消防庁によると、雪の結晶には、

団結

純潔

という意味が込められています。

中心部分は「太陽」

消防章の中心には、

日章=太陽

があります。

そこには、

都民の太陽でありたい

という消防の願いが込められています。

そして、

水管。

管そう。

放出される水柱。

によって、消防活動に欠かせない機械と水が表現されています。

ただのデザインではなく、

消防という仕事そのものを表現したマーク

なんですね。

消防署や消防車を見かけたときは、一度マークをじっくり見てみてください。

豆知識③|なぜ救助隊はオレンジ色なの?

消防について詳しくない人でも、

「オレンジ=レスキュー隊」

というイメージを持っている人は多いと思います。

東京消防庁では1973年7月24日に、

オレンジ色の救助服

が正式に制定されています。

同年11月には「オレンジ部隊」という通称も決定されました。

「オレンジ=国際救難色だから」は断定しない

この記事の旧版では、

「オレンジ色は国際救難色だから」

と説明していました。

しかし現在確認できる東京消防庁の公式資料では、オレンジ色の制定については確認できるものの、

「国際救難色だから採用した」という説明は確認できません。

また、

「世界中の救助隊がオレンジ服を着ている」

という説明も正確ではないため削除します。

オレンジは煙や暗い場所でも目立ちやすい

大阪市消防局は救助隊がオレンジ色の服を着る理由について、

火災の煙の中でも目立ち、夜間の事故現場などでも救助隊だと判断しやすくするため

と説明しています。

救助隊が活動する場所は、

火災。

交通事故。

倒壊。

暗所。

煙の中。

など、視界の悪い環境も少なくありません。

そこで識別しやすい色を使うことには大きな意味があります。

オレンジを着ている=全員特別救助隊ではない

ここも豆知識です。

東京消防庁では、水難救助隊も陸上業務時にはオレンジ色の執務服を着ています。

水難救助活動へ出場するときにはウェットスーツへ着替えます。

なので、

「オレンジを着ている消防士=必ず特別救助隊員」

とは限りません。

救助隊についてさらに詳しく知りたい方は、先ほどの救助隊記事も参考にしてください。

豆知識④|なぜ火事・救急は「119番」なの?

日本では、

火事・救急=119番

が当たり前ですよね。

でも、

「なぜ119?」

と聞かれると意外と答えられない人が多いと思います。

最初は「112番」だった

大阪市消防局によると、自動交換電話が使われ始めた当初、火災専用電話には、

112番

が使われていました。

理由の一つは、当時のダイヤル式電話で短時間に番号を回せることでした。

ところが、

誤って接続してしまうケースが多く発生。

そこで1927年(昭和2年)ごろから、地域番号として使われていなかった「9」を採用し、

119番

になったと説明されています。

つまり、

最初から119番だったわけではない

んです。

119番で一番重要なのは「場所」

そしてこれは雑学というより、本当に覚えておいてほしいことです。

現在の119番通報では、

災害が発生している場所の住所

が非常に重要です。

住所など必要最低限の情報が分かれば、通話を続けている途中でも消防車・救急車への出場指令が行われます。

なので119番するときは、

「早く来てください!」

だけではなく、

どこで起きているのか

をできるだけ正確に伝えてください。

豆知識⑤|消防車は本当は「赤色」ではない?

最後は消防車です。

子どもに、

「消防車は何色?」

と聞けば、

ほぼ間違いなく、

赤!

と答えると思います。

もちろん日常会話では赤で問題ありません。

でも法規上は少し違います。

法律上は「朱色」

緊急自動車の車体については道路運送車両関係の基準があり、

消防自動車については、

朱色

とされています。

つまり、

一般的には「赤い消防車」だけど、法規上の表現は「朱色」

なんです。

これは結構知らない人が多い豆知識だと思います。

なぜ朱色になったの?

「なぜ消防車が朱色になったのか」という歴史的理由については、断定できるものではありません。

一説には、日本へ輸入された初期の消防自動車が赤系の色だったことなどが理由として挙げられています。吹田市消防本部も、外国から輸入された消防車が朱色だったことが由来といわれていると説明しています。

ここは、

「赤は目立つから絶対に赤になった」

などと断定しない方が正確です。

元消防士から見ると消防は「知るほど面白い」

消防士として働いていた頃は、

消防章。

救助服。

消防車。

119番。

などを毎日のように見ていました。

だから、そのうち当たり前になります。

でも消防を辞めて外から見ると、

消防って意外と細かいところまで意味がある仕事だな

と改めて感じます。

制服の色にも意味がある。

マークにも意味がある。

救助隊のワッペンにも歴史がある。

消防車の色まで決まりがある。

消防士を目指している人なら、こういう知識を覚えておくと、消防という仕事への理解も深まると思います。

ただし採用面接では、

雑学を大量に覚えること自体が目的ではありません。

「救助隊に行きたい」

「東京消防庁で働きたい」

と話すなら、自分が目指している組織・仕事について理解しておく。

そのための一つとして豆知識を楽しんでください。

消防の豆知識についてよくある質問

東京消防庁の救助隊の犬は何犬?

セントバーナード犬です。

人命救助で知られるバリー号の姿と、困難な災害へ立ち向かう救助隊員が重なることから、東京消防庁の救助隊のシンボルとして採用されています。

救助隊がオレンジなのは国際ルール?

少なくとも、現在確認できる東京消防庁公式情報から「世界共通の国際ルールだからオレンジ」とは確認できません。

東京消防庁では1973年にオレンジ救助服が制定されています。大阪市消防局は、煙や夜間でも目立ちやすく救助隊を識別しやすくするためと説明しています。

消防マークはクモの巣?

違います。

東京消防庁によると、基本になっている図案は雪の結晶です。

そこへ日章、水管、管そう、水柱が組み合わされています。

119番は昔から119だった?

最初は112番が使われていましたが、誤接続などを背景に119番へ変更されたとされています。

消防車は赤色じゃないの?

普段は「赤い消防車」で問題ありません。

ただし法規上、消防自動車の車体色は朱色とされています。

まとめ|消防は細かいところにも意味と歴史がある

今回紹介した消防の豆知識は5つです。

① 東京消防庁の救助隊のセントバーナードは人命救助の象徴

② 消防章の基本図案は雪の結晶

③ 東京消防庁のオレンジ救助服は1973年に制定

④ 119番は最初から119だったわけではない

⑤ 消防車は法規上「朱色」

消防士として働いていると当たり前になるものでも、

「なぜ?」

と調べてみると、それぞれ意味や歴史があります。

私自身も東京消防庁で消防士として勤務していましたが、

消防についてすべて知っているわけではありません。

むしろ、

調べるたびに、

「そんな理由があったのか」

と気づくことがあります。

消防士を目指している人。

消防好きの人。

消防車が好きな人。

単純に雑学が好きな人。

ぜひ消防を見るときに、

服。

腕章。

マーク。

消防車。

などにも注目してみてください。

今までと少し違って見えると思います。